転職活動で一番頭を悩ませるのが、「退職理由をどう書けばいいか」という問題ではないでしょうか。
「人間関係が嫌だった」
「夜勤がもう限界だった」
本音はそうでも、そのまま書いたら絶対NG。かといって、当たり障りのない言葉だけでは面接で深掘りされたときに答えられない。
そのちょうどいいバランスが、なかなか難しいですよね。
私は大学病院の看護師として働いたあと、一般企業へ転職しました。その後、看護師・保健師のキャリア相談を200件以上受けてきた中で、退職理由の書き方ひとつで書類選考の通過率がガラッと変わる場面を何度も見てきました。
この記事では、そんな経験をもとに看護師が転職で使える退職理由の書き方と例文を、履歴書・面接それぞれに向けて徹底解説します。
- 退職理由を聞かれる場面(履歴書・面接・エージェント)ごとの対策
- 看護師に多い本音の退職理由TOP5と、正しい言い換え方
- 状況別のコピペOK例文集(人間関係・夜勤・給与・家庭・キャリアアップ)
- 履歴書の退職理由欄の書き方テンプレ
- 面接での深掘り質問への対処法
- 退職理由と志望動機をセットで考える方法
看護師が退職理由を聞かれる場面は3つある
まず整理しておきたいのが、「退職理由をどこで使うのか」という点です。
場面によって求められる詳しさ・書き方のトーンが変わってくるので、それぞれ分けて理解しておきましょう。
履歴書・職務経歴書に書く場合
履歴書には「退職理由欄」が設けられていることが多く、ここに記入するのは簡潔な1〜3文程度が基本です。
詳細は面接で話せばいいので、ここでは「前向きな理由」に絞って端的にまとめることがポイントです。
面接で口頭で聞かれる場合
面接では「退職のきっかけ」から「転職の目的」まで、かなり深掘りして聞かれることがあります。
ここでは理由の一貫性と、志望動機とのつながりが重要になります。
履歴書に書いた内容と矛盾しないように準備しておきましょう。
転職エージェントに伝える場合
エージェントには比較的本音を話してOKです。「夜勤が体力的に限界」「職場のハラスメントが辛かった」など、正直に伝えることで求人の提案精度が上がります。
ただし、エージェントから企業に伝えられる際は言い換えられるため、エージェントへの伝え方と履歴書・面接での伝え方は別に準備すると考えておきましょう。
看護師の退職理由【本音ランキングTOP5】
看護師転職に関する各種調査・私がこれまでに受けてきた相談をもとに、看護師が退職を決意した本音の理由をまとめました。

「あなただけじゃない」ということ、まずは知ってほしいと思います。
第1位:人間関係(いじめ・ハラスメント・パワハラ)
看護師の職場は、女性が多く閉鎖的な環境になりやすいため、人間関係のトラブルは非常に多いです。
先輩からのいじめ、陰口、無視。

私自身も大学病院時代に「これがナース同士の関係か…」と感じた経験があります。
第2位:夜勤・長時間労働による体力・精神的限界
「夜勤明けに次の日また日勤が入る」「月に10回以上の夜勤」など、体が悲鳴を上げる働き方を強いられるケースは珍しくありません。
特に20〜30代の若手看護師に多い理由です。
第3位:給与・待遇への不満
仕事の責任の重さに対して給与が見合っていない、休日が少ない、有給が取れないといった待遇面の不満も大きな退職動機になります。
第4位:家族の事情・体力的な健康問題
結婚・出産・育児・家族の介護など、ライフステージの変化に伴って職場環境を変えざるを得ないケースです。
本人の体調不良(うつ・バーンアウトなど)も含まれます。
第5位:キャリアアップ・スキルアップのため
「保健師になりたい」「クリニックや企業で働きたい」「専門看護師を目指したい」など、積極的なキャリアチェンジを理由とする場合です。
この理由は最も転職先に伝えやすいケースです。
退職理由の書き方【3つの鉄則】
退職理由の書き方には、採用担当者に「この人なら採用したい」と思わせるための”型”があります。
本音よりも「前向きな動機」に言い換える
退職理由は「なぜ今の職場を辞めるか(ネガティブ)」ではなく、「なぜ新しい職場に行くのか(ポジティブ)」として語るのが基本です。
採用担当者が見ているのは「うちに来たら同じ理由でまた辞めないか」という点です。
ネガティブな言葉は不安を与えるため、言い換えが必須です。
| 本音(NG) | 言い換え(OK) |
|---|---|
| 人間関係がつらかった | チームで協働できる環境で働きたいと思った |
| 夜勤がもう無理 | 日勤中心でスキルを磨きたいと考えた |
| 給与が低い | 努力や成果が正当に評価される環境を求めた |
| 上司のパワハラが嫌だった | 風通しの良い職場で成長したいと思った |
| 仕事が合わなかった | より専門性を高められる分野に挑戦したくなった |
具体性を持たせる(「なんとなく」はNG)
「スキルアップのため」「新しいことに挑戦したかった」だけでは弱いです。
「ICU勤務で急性期の経験を5年積んだ後、予防医療の分野でも力を発揮したいと考えました」
このように、なぜ今のタイミングなのかを具体的に加えると説得力が増します。
転職先の志望動機と連動させる
退職理由と志望動機はセットで考えるのが鉄則です。
退職理由が「現職では患者さんとじっくり向き合う時間が取れなかった」であれば、志望動機は「御院のクリニックでは一人ひとりの患者さんに寄り添ったケアができると感じました」という流れにすると、一貫性が生まれます。
【状況別】退職理由の例文集
ここからは、よくある退職理由のパターン別に「NG例文→OK例文」を紹介します。
コピペして使ってもOKですし、自分の状況に合わせてアレンジしてください。
人間関係が理由の場合
NG例文
職場の先輩や上司との人間関係が上手くいかず、精神的に辛くなったため退職しました。
OK例文(履歴書用)
現職では、チームとして互いに支え合う職場環境を求めて退職を決意しました。新しい職場では、スタッフ同士が連携しやすい環境の中で、患者さんにより質の高いケアを提供したいと考えています。
OK例文(面接用・やや詳しく)
現職では業務量が多く、スタッフ間でゆとりを持ってコミュニケーションを取ることが難しい環境でした。看護師として長く働いていく上で、お互いをサポートし合えるチームの一員として働きたいと考えるようになり、転職を決意しました。
ポイントは、人間関係は最もセンシティブな理由なので、特定の人を批判するような表現は絶対に避けましょう。「職場環境」「チーム」という言葉に置き換えるのがコツです。
メンタル疾患が理由の場合
NG例文
メンタル疾患を発症し休職、その後復帰ができなかったため退職しました。
OK例文
前職では急性期病棟で勤務しており、多忙な環境の中で適応障害を発症し、休職しました。休職期間中に自分と向き合い、私はゆっくり丁寧に患者さんと関わることが得意だとわかりました。今後は自分らしく働ける環境で、長く貢献していきたいと思い志望いたしました。
メンタル疾患を持っている場合は、発症した理由・現在の状態(働ける状態であること)・再発した場合の対策まで伝えておくと、面接官も安心し採用に繋がりやすいです。
もっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

夜勤・体力的な理由の場合
NG例文
夜勤が体力的にきつく、体を壊しそうになったため辞めることにしました。
OK例文(履歴書用)
看護師として長期的に働き続けるため、日勤を中心とした働き方でスキルを磨きたいと考え退職を決意しました。
OK例文(面接用・やや詳しく)
現職では夜勤が月に複数回あり、体調管理と仕事のパフォーマンス維持に課題を感じていました。看護師として長く患者さんに貢献し続けるためにも、自分の健康を維持しながら働ける環境に移りたいと考えました。
ポイントは「健康を維持して長く働きたい」という前向きな理由にするのが効果的です。体力面の不安を訴えるより、「継続性」「長期貢献」を強調しましょう。
給与・待遇が理由の場合
NG例文
給料が低く、仕事量に見合った報酬がもらえないと感じたため退職しました。
OK例文(履歴書用)
現職での経験を活かしながら、より専門性の高い分野でさらなるキャリアアップを目指したいと考え、転職を決意しました。
OK例文(面接用・やや詳しく)
これまでの看護師経験を通じてスキルを積んできた中で、自分の努力や成果が正当に評価される環境で働きたいという気持ちが強くなりました。御院のキャリアパスや評価制度に魅力を感じ、転職を決意しました。
ポイントは、給与の不満は正直に言いにくいテーマです。「評価される環境を求めた」「キャリアアップ」という言葉で言い換え、面接では転職先の良さを積極的に語る方向に持っていきましょう。
家庭の事情(育児・介護・結婚)の場合
OK例文(履歴書用)
家族の事情により現在の勤務体制の継続が困難となったため退職を決意しました。新しい職場では、家庭とのバランスを保ちながら看護師としての経験をさらに活かしていきたいと考えています。
OK例文(面接用・やや詳しく)
家族の介護(※または「育児」「結婚に伴う引越し」など状況に合わせて変更)という事情があり、現在の夜勤中心の勤務を続けることが難しくなりました。プライベートを整えた上で、看護師としての仕事にしっかり向き合える環境を求めて転職を決意しました。
ポイントは、家族の事情は理解されやすい理由です。ただし「家庭優先で仕事はそこそこでいい」と思われないよう、「仕事への意欲」も一緒に伝えましょう。
キャリアアップ・キャリアチェンジの場合(保健師・クリニック・企業など)
OK例文(履歴書用)
急性期病棟での看護師経験を通じて、病気になる前の段階から人々の健康を支える予防医療の重要性を強く感じるようになりました。より上流から患者さんの健康に貢献したいという思いから、保健師(または「クリニック」「企業」など)への転職を決意しました。
OK例文(面接用・やや詳しく)
大学病院のICUで5年間、重症患者さんの看護に携わってきました。その経験の中で、病気が重症化する前に介入できる予防医療・健康管理の領域に強い関心を持つようになりました。看護師としての臨床経験を活かしながら、より広い視点から人々の健康を支える仕事がしたいと考え、産業保健師(または「企業」「クリニック」など)への転職を決意しました。
ポイントは、キャリアアップ・チェンジは最も転職先に伝えやすい理由です。「なぜそのキャリアに興味を持ったか」という具体的なきっかけを盛り込むと、説得力がぐっと増します。
履歴書の「退職理由欄」の書き方
書くべき文字数の目安
履歴書の退職理由欄は、50〜120文字程度が目安です。
詳細は面接で話せるので、ここでは「端的に・前向きに」をキーワードにまとめましょう。
基本テンプレート(コピペOK)
キャリアアップ・スキルアップ系
現職での○年間の経験を通じて○○(専門分野・スキル)の重要性を感じ、さらなるキャリアアップのため転職を決意しました。
働き方・環境変化系
長期的に看護師として活躍するため、○○(日勤中心・ワークライフバランス等)の環境で働きたいと考え、転職を決意しました。
家族・ライフイベント系
家族の事情により現在の勤務形態の継続が困難となったため退職を決意しました。引き続き看護師として貢献できる環境を求めております。
一身上の都合(理由を書きたくない場合)
一身上の都合により退職いたしました。詳細については面接の場でご説明させていただければ幸いです。
よくあるNG表現と改善例
ネガティブ表現をポジティブ表現に変更した具体例は以下を参考にしてください。
| NGな表現 | 改善後の表現 |
|---|---|
| 人間関係が嫌になったから | より協力し合えるチームで働きたかったため |
| 上司がひどかったから | 職場環境の改善を求めて転職を決意しました |
| 仕事が辛かったから | 長期的なキャリア形成のため転職を決意しました |
| 給料が低かったから | 自身の成長に見合った環境を求めたため |
面接で退職理由を聞かれたときの答え方
基本の答え方:「ネガティブ→ポジティブ変換」の型
面接での退職理由は、この2ステップで答えるのが基本です。
ステップ1:現職での課題・限界(短く・客観的に)
ステップ2:新しい職場でやりたいこと・理由(メインで話す)
具体的にはこんな流れです。
「現職では夜勤が多く、体力的な限界を感じておりました(ステップ1)。
看護師として長く患者さんに貢献し続けるためにも、日勤中心の環境で専門性をさらに磨きたいと考えるようになり、転職を決意しました(ステップ2)。
御院では○○の分野でスキルを活かせると感じており、ぜひ貢献したいと考えております。」
ポイントは、ステップ1は短く、ステップ2をメインに語ることです。
深掘り質問への対処法
面接官から「もう少し詳しく聞かせていただけますか?」と深掘りされたときの対処法を準備しておきましょう。
Q:「人間関係の問題とは具体的にどういうことですか?」
「スタッフ間でのコミュニケーションが取りにくい状況があり、チームとして連携するのが難しい場面がありました。現在の職場を否定したいわけではなく、私自身がより協力し合える環境の中でスキルを発揮したいと感じるようになりました。」
Q:「前の職場を選んだ理由は何ですか?」
「急性期の看護を学びたいと考え入職しました。実際に○年間、多くのことを経験できましたが、その中でさらに○○(次のキャリアに向けたきっかけ)への関心が生まれました。」
Q:「転職を急いでいる理由はありますか?」
「退職後のキャリアを早めに軌道に乗せたいという思いがあり、積極的に活動しています。ただし、じっくり自分に合った職場を見極めたいとも考えています。」
面接で絶対に言ってはいけないこと
以下のような発言には注意しましょう。
- 特定の人物(上司・同僚)への批判や悪口
- 「給料が低かった」などの待遇面だけを語る
- 「なんとなく」「飽きた」などの主体性のない理由
- 現在の職場の組織体制や病院方針への批判
これらは「次の職場でも同じことをするのでは?」という懸念を抱かせてしまいます。
退職理由と志望動機はセットで考える
一貫性がないと落ちる理由
退職理由と志望動機がバラバラだと、面接官に「転職の目的がよく分かっていない人」という印象を与えます。
たとえば以下のようなものです。
- 退職理由:「スキルアップのため」
- 志望動機:「残業が少ないから」
この2つが並ぶと、「本当にスキルアップがしたいの?それとも楽な職場に移りたいだけ?」と思われてしまいます。
退職理由→志望動機のつなげ方テンプレ
パターン①:環境の改善を求めた場合
「現職では○○(課題)を感じていました。御院では○○(転職先の強み)があり、その環境の中でより良い看護を提供できると感じました。」
パターン②:キャリアアップを求めた場合
「現職での○○の経験を活かし、さらに○○のスキルを身につけたいと考えました。御院では○○(具体的な取り組み)があり、自分の目指す方向に合致していると感じました。」
パターン③:ライフステージの変化の場合
「家族の事情から働き方を見直す必要がありましたが、看護師としての仕事への意欲は変わっておりません。御院では○○(フレキシブルな勤務体制など)があり、長期的に貢献できると考えました。」
転職エージェントを使うと退職理由のサポートもしてもらえる
「退職理由の書き方、これで合ってるかな…?」という不安がある場合は、転職エージェントを活用するのが一番の近道です。
転職エージェントは、履歴書の退職理由欄の添削から、面接での答え方のロールプレイまでサポートしてくれます。しかも無料で使えます。
特に看護師専門の転職エージェントは、過去の事例を豊富に持っているので「こういう理由の場合はこう言い換えた方がいい」という具体的なアドバイスがもらえます。
転職エージェントの選び方については、【2026年最新】看護師転職サイトおすすめ10選を参考にしてみてください。
まとめ|看護師の退職理由の上手な伝え方
看護師の退職理由は、「本音をそのまま書かない」「ポジティブに言い換える」「志望動機と連動させる」の3つが基本です。
- 人間関係が理由:「より良いチームで働きたい」という表現に
- 夜勤・体力が理由:「長期的に貢献するため」という切り口で
- 給与・待遇が理由:「成長に見合った評価を求めた」と言い換え
- 家庭の事情:「仕事への意欲は変わらない」を必ず添える
- キャリアアップ:「具体的なきっかけ」を盛り込むと強い
「どう書けばいいかわからない」という場合は、転職エージェントに相談してみるのが最も効率的です。
プロのアドバイスを受けながら、あなたに合った退職理由を一緒に考えてもらいましょう。
転職を通じて、今よりもっと自分らしく働ける場所が見つかることを願っています。



