看護師業界では、メンタルヘルスの問題による退職が増加しています。
他の職種に比べても看護師の離職率は高く、特に精神的な負担が大きな要因となっています。
メンタル疾患を持つ人は転職活動で不採用となることも多いですが、退職理由をポジティブに変換すれば休職期間やニート期間があっても採用されるので安心してください。
この記事では、看護師がメンタルヘルスの問題で退職する理由を見直し、転職時に不利にならないメンタルによる退職理由の伝え方を解説しています。
記事後半に面接で使える退職理由のテンプレートもあるので、最後まで読んで参考にしてください。
看護師のメンタルヘルス不調が最多!2人に1人はうつ病傾向
メンタルヘルスの不調が看護師の退職理由として最も多いことが、多くの調査でわかっています。
特に急性期看護師のうつ病傾向率は2人に1人という研究結果も出ており、他職種と比較しても2倍以上も多い衝撃の結果が出ています。
医療現場は常に緊張感に包まれており、長時間の労働や人命に直接関わる責任感が精神的なプレッシャーを引き起こします。
看護師の仕事は他の職業に比べて「過度なストレス」と「責任感」が要求され、精神的な不調に陥りやすい職業です。
メンタルが原因で今の仕事を続けるか悩んでいる人は、看護師の休職や退職に対する考え方や対策方法を以下の記事にまとめています。一人で悩む前に、これを読んで参考にしてくださいね。

看護師や休職するメンタル系の主な退職理由
看護師をしていると「性格が強くなる」と言われるように独特な環境であることから、人間関係のトラブルが発生しやすいことも原因として上げられます。
さらに、常にどの病院も人手不足であることから過酷な労働環境もメンタル疾患を引き起こす原因になっています。
・人間関係の悪化
・長時間労働と待遇の不満
・責任の重圧と医療事故への不安
・ライフステージの変化に伴うストレス
このようにメンタル疾患を発症するケースはいくつもの理由ががり、それぞれが重なって起こることが多いです。

看護師の退職は引き留めに合うこともよくあるので、スムーズに円満に退職できるようにしましょう。
人間関係の悪化
看護師の退職理由でも必ずトップに「人間関係」の問題が挙げられます。
特に看護師長や同僚とのコミュニケーションの不和が原因で、職場環境が悪化するケースが多いです。
過度なプレッシャーや労働環境の中で、感情的な摩擦が生じやすく、それがメンタルヘルスの悪化に繋がります。
・ミスをすると先輩や上司に責められる。
・他スタッフがいる場所で必要以上に強く指導される。
・トラブルが起こると犯人探しが始まる。
・できない新人は辞めさせる。
看護師の仕事はチームワークが重要であり、人間関係の不和が精神的なストレスの大きな要因となっています。
長時間労働と待遇の不満
看護師の勤務はシフト制であり、夜勤による不規則な生活や残業などの長時間労働が日常的です。
・欠勤者が出たら急遽勤務変更される
・出勤30〜1時間前から前残業
・当たり前のようにサービス残業
このように企業ではあり得ないような厳しい労働環境が、精神的な疲労を引き起こし、メンタルヘルスに深刻な影響を与えています。
また、労働に見合った報酬や待遇が得られないと感じる看護師が多く、それが退職を決断させる一因となっています。
責任の重圧と医療事故への不安
看護師が直面する大きな課題の一つに、患者の命を預かるという責任の重さがあります。
この責任感は、日々の業務において大きな精神的プレッシャーとなり、看護師のメンタルヘルスに悪影響を与えます。
また、医療事故のリスクに対する恐怖心も、看護師が退職を考える要因の一つです。
医師が処方ミスをしている場合でも、患者へ最終投与した看護師もインシデント発生として責任を問われてしまいます。つまり、医師並みの知識が必要であり、看護師以外の負担も大きくなっている現状があります。
特に新人看護師や経験の浅い看護師にとって、このような不安は大きく、精神的に追い詰められやすい状況にあります。
ライフステージの変化に伴うメンタルヘルスの変化
結婚や出産といったライフステージの変化も、看護師の退職理由に大きく関係しています。
・つわりがひどい上に、肉体的労働で辛い。
・切迫流産、切迫早産の可能性があるのに休めない。
・育児もあるのに夜勤が免除されない。
家庭と仕事の両立が難しくなり、特に育児が始まると長時間労働や夜勤が負担となり、精神的な疲労を増幅させる要因となります。
また、これに伴う経済的なプレッシャーも、メンタルヘルスに影響を及ぼします。
メンタル疾患は面接官へ伝えるべき?
ストレスにより適応障害やうつ病などの精神疾患を発症している人は、既往を面接で正直に伝えるか迷いますよね。
不採用になる可能性が高く、病気を隠したいという人もいます。
結論から言うと、正直に伝えるかどうかは症状のレベルによって異なります。休職をしているかどうかは関係ありません。
・定期的に入院することがある
・内服治療を継続している
・就業に影響する可能性がある
長期で付き合わなければならないときは自己申告することをおすすめします。その理由は、今後サポートが必要となったときに支援があると働きやすいからです。
正直に全て話す必要はありませんが、通院や内服治療を行っている場合は自己申告し、自分がどのような環境やサポートがあれば働きやすいかを伝えておくと入社後も自分自身の不安の軽減につながります。
【メンタルによる転職】面接での上手な退職理由の伝え方
メンタル疾患が原因で退職した場合でも、退職理由をポジティブ変換することで採用率は格段にアップします。
面接で不利にならずプラスになる退職理由の伝え方を解説します。ぜひ参考にしてください。
現在は働ける状態であることをはっきりと伝える
休職したり、退職後ニートを経験していると必ず今の状態を聞かれます。「元気に働けるかどうか」も採否のポイントになります。
入社前に雇い入れ健診をした経験はありませんか?これは体調面で働ける状態であるかどうかを見るために実施されます。これと同様に、精神的な面でも働けるかどうかは採否に関わるものです。
しかし、精神疾患を持っているからという理由だけで不採用になることはないので安心してください。
今現在は回復しており、働ける状態であることをはっきり伝えましょう。
メンタル疾患は軽いものから重いものまで様々です。今の自分の状態を言語化して伝えられるようにしておきましょう。
・「一時的に向精神薬を内服していましたが、今は内服せず生活ができています。」
・「不安に感じた時のみ内服しています。頻度は月に1〜2回くらいです。」
・「現在は内服中ですが、薬の種類が軽いものへと減り、主治医から復職可能と言われています。」
正直に話すのは不安かもしれませんが、今の状態を理解してもらった上で入社できると、入社後こまめに声をかけてくれたり、自分のペースで働けるようにサポートしてくれる職場に出会える可能性が高くなります。
自分のためにも全て隠さず、病気を向き合いながら楽に働ける職場を選ぶことをおすすめします。
メンタルヘルス不調の原因を明確に伝える
メンタルヘルスの不調を理由に退職した場合は、職場環境や働き方が自分に合わなかったことを強調し、今後のキャリアに前向きな姿勢を示すことが大切です。
何が原因であったかを明確に話すことで、採用側も入社後のサポートできるかどうか検討し、採否を決める判断材料になります。
面接で話す退職理由例を以下に紹介します。
前職は夜勤もあり不規則な生活が原因で、体調を崩してしまいました。休職中は生活リズムを整え、心身ともに安定しております。夜勤は体質的に合わず、今後は日勤のみの仕事であれば安定した働き方ができると思い御社を志望いたしました。
転職活動中の面接でのポジティブな伝え方
退職理由を伝える際は、ネガティブな表現を避け、転職活動においてもポジティブに伝えることが求められます。
看護師で休職する人は新卒で大学病院や総合病院など大きな病院へ入職したり、急性期病院を選んでいる人の割合が高いです。
「新人は大きな病院へ行くのが当たり前」という文化があるため、同じ経験をしている人はいるのではないでしょうか。
この場合は、自分に適した職場選びができていないことが多いので、以下のように伝えるとポジティブな印象になります。
現職では急性期病棟で日々忙しくしており、適応障害になり休職しております。休職期間中に自分と向き合う時間を作り、私はゆっくり丁寧に仕事をする性格であることから、回復期病棟の方が向いていることに気づきました。学生の就活中は自己分析ができておらず、自分に合っていない環境を選んでしまったことで、心の病気を発症してしまいました。現在は心療内科での治療もきちんと行い、回復しています。今後は自分らしく働ける環境で働きたいと思い、志望いたしました。
「自分に合った働き方を模索している」といった形で、今後の展望を強調することが面接官に好印象を与えます。
再就職時のメンタルヘルス対策
キャリアアップを目指す看護師も多い一方で、メンタルヘルス不調で退職を経験した看護師が再就職する際には、次の職場選びが非常に重要です。
過去の経験から学び、精神的に安定した環境を見つけるためには、職場の雰囲気や勤務条件をしっかりとリサーチすることが欠かせません。

自己理解を深めることで自分にどのような上司や環境が適しているのかを明確にすることができます!
これまで自己分析をしたことがない方は、ぜひこちらの記事を参考に自分と向き合ってみてください。

また、看護師専用の転職サイトを活用することで、職場環境に関する詳しい情報を得ることができるため、精神的な負担が減り、安心して転職活動を進めることができます。
・職場の内部事情が聞ける
・書類送付や人事との連絡など面倒な手続きが減る
・エージェントが面接に同行することでフォローしてもらえる
新人看護師におすすめの看護師転職サイトはこちらの記事で紹介しています。

看護師がメンタルで退職する時の退職理由まとめ
看護師がメンタルヘルス不調によって退職する理由は、多岐にわたります。
厳しい勤務環境や人間関係のストレス、責任感の重圧が主な原因ですが、ライフステージの変化も大きな要因となります。
退職時には、ポジティブな表現で理由を伝えることが円満退職の秘訣です。
そして看護師として長く働き続けるためには、「適切な職場選び」と「自己管理」が重要です。
再就職時には職場環境をしっかりとリサーチすることがメンタルヘルスを維持する鍵となります。
自分に適した職場探しのコツは、こちらの記事を参考にしてください。
