産業保健師の一人職場は、「繊細さん」や「一人好き」の人にとっては、周りの目を気にせず自分のペースで働けるので実力を発揮しやすく、気持ち的にも最高な働き方です。
産業保健師の求人が少なくて、やっと見つけたのに一人職場でエントリーしようか悩んでいます。
一人職場でうまくいかなくて、どうしたら良いですか?
・産業保健の一人職場は実際どうなのか?
・どんな時に一人だと困るのか?
・職場で困った時の対処法は?
私は初めは2人職場でしたが、今はひとり職場で勤務しています。一人職場で困っていることや悩んだ時の対処法をまとめました。
産業保健師は半分が一人職場!
産業保健師は2人に1人が一人職場で、他業界と比べても圧倒的に多い職場です。
一人職場は約50%です。二人職場を合わせると、少数体制が7割を超えます。(令和2年度時点)
1人 | 52.5% |
2人 | 20.3% |
3人 | 10.1% |
3人以上 | 15.6% |
回答なし | 1.5% |
産業保健師の一人職場は気楽にマイペースに働ける!
一人職場のメリットは以下のようなものがあります。
・人間関係のストレスが激減する
・仕事に合わせて休憩時間が確保できる
・周りを気にせず気軽に電話ができる
・周りを気にせずお菓子をつまみ、リフレッシュできる
・職場が綺麗に保てる
実際にどのような場面で一人職場のメリットを感じられるのか、具体的に紹介します。
人間関係のストレスが激減する
仕事のストレスは9割が人間関係と言われています。
しかし、一人職場は人間関係が少ないため、ストレスはかなり軽減されます。他社員と関わることもありますが、数分の連絡のみでずっと一緒に働くことはないため非常に楽です。
また、残業は比較的少ない職業ではありますが、帰宅時に職場内で残業をしている人を待たなくて良いです。
そのため病棟のように「みんなが終わるまで待つ」といったことがなく、無駄な時間をなくすことができます。
- 気を遣うことがないため、人間関係については何も考えなくて良い。
- 仕事に対してマイナスイメージがないため、早朝出勤が精神的に楽になり、朝活もできる。
- 先輩がいると先に帰るのに躊躇ってしまうが、無駄な残業することなく退勤できる。
仕事に合わせて休憩時間が確保できる
休憩時間が自由に決められるので、自分の気分で過ごすことができます。スタッフが複数いると、電話対応や来客対応のために交替で休憩に行かなければなりません。
そうなると時間が決められているので、他スタッフに迷惑がかからないように自分のスケジュールを調整しなければなりません。
- お腹が空いた日は早めの昼休憩で、エネルギーチャージ。
- 睡眠不足で頭が回らない日は早めに休憩をとり、仮眠する。
- 元気が有り余っている時は遅めに休憩をとり、午後の時間を短くする。
- 休憩室の仮眠ベッドが空いていない時は、時間をずらす。
他の人の前で電話が苦手な人は気軽に電話ができる
一人職場は特に「繊細さん」には非常に嬉しい環境です。周囲に人がいないため、電話の対応を聞かれる心配がありません。
周りの人に聞かれていると思うと、思うように話せない人も多いのではないでしょうか。
電話で「ちゃんとした敬語を使わないと」と思うほど緊張して相手に伝わってしまい、コミュニケーションが下手になり、信頼関係も薄れていってしまいます。
先輩に電話の内容を聞かれていると「その対応はよくない」「もっとこうしないとダメ」と逐一注意が入ることもあります。
先輩が電話をしている時、もしくはお手洗いに行った時など隙を狙って電話をしないといけなくなり、非常にストレスになります。
- 自分への電話しか来ないため、 さっと出るのみなので 「先輩より先に電話に出ないと」という緊張感がなく、ストレスが軽減される。
- 好きな時間に電話ができる。
- 会話の内容を聞かれる心配もないので堂々と仕事ができる。
周りを気にせずお菓子をつまみ、リフレッシュできる
基本的にデスクでお菓子をつまむことはOKです。
しかし、先輩の目を気にして食べられなかったり、みんなが集中していて静かな時は音が響くので食べられないこともあります。余計なことを気にしてしまい、仕事に集中できなくなってしまいます。
絶対にお菓子は食べたいんだ!という人はいないと思いますが、リフレッシュのためにできると気持ちが楽になります。
- お菓子だけでなく朝ごはんのパンをつまんでいる
- チョコ、飴だけでなく饅頭やポテチ、じゃがりこなどお菓子パーティーになっている
- コーヒーも飲みながらおしゃれに仕事をこなす
職場が綺麗に保てる
仕事ができる人になるためには、まずは職場を綺麗にすること。片付けができていない、整理整頓ができないない環境だとミスを起こしやすくなり、また仕事に集中できなくなってしまいます。
片付けができないスタッフがいると、ストレスになることも。これが原因でイライラしたり、人間関係が悪化することもあるので注意です。
- 自分が使いやすいように書類や必要物品の配置を決めることができる。
- 観葉植物などを置いてリラックス。
- 毎日片づけて帰るとスッキリした気持ちで帰れる。
一人職場は、自立心が強い人やマイペースな人にはとても良い職場です。できるだけ一人で黙々と仕事をしたい人は働きやすいと考えられます。
産業保健師の一人職場の悩みと対処法
一人職場は気楽で自由度が高く、働きやすいですが、反対に一人だからこそ大変なこともあります。
産業保健師の一人職場で悩むことは以下のようなものがあります。
・自分の行動が正しいか不安になる
・問題発生時、一人で悩みを抱え込む
・一度人間関係が悪化すると居心地が悪くなる
・世間話をする人がいないため楽しさに欠ける
これで良いのか?と不安になる時がある
業務のなかでも、保健指導やメンタルヘルスケアなどは正解のない仕事です。「指導方針はこれで良いのか?」「メンタルケアはどの程度深く関わったら良いのか?」といった疑問がたくさん出てきます。
他の保健師はどうしているのか?自分のやり方はこれで合っているのか?と不安になることが多々あります。
- 保健指導方法やメンタルケアについては経験と日々の勉強が必要。
- そのため、参考書や産業保健関連の研修で事例を通して学ぶ。
問題発生時、一人で悩むことが多い
難しい事例が発生した場合、解決するための手段を一人で考えなければなりません。産業保健師は個人情報を扱っており、社内の誰にも話せない深刻な内容を扱うこともあります。
せめて2人いると相談もでき、すぐに解決策を見出すことができるので、相談相手がいないのは辛いかもしれません。
例えば、「この数値、この症状って…」と何かが気になっていても検査データは少ないし病気の予想をするのは難しいです。ちょっと気にかかった時に誰かに相談したい時にモヤモヤしてしまいます。
このように、もう一人誰かいたら、、という状況を回避するためには、以下の方法があります。
- 同じ会社の他営業所や他支店の保健師へ電話相談をする。
- 全国の産業保健師研修で困難事例などを学んだり、その場で質問をして聞く。
- 産業医の先生へ相談をして解決策を見つける。
産業医は非常勤でも電話やメールで対応してくれることがあります。一度相談をしてみましょう。
忙しいときに頼る人がいない
一人職場は自分から状況を伝えないと誰も気づいてはくれません。
従業員の健康など個人情報が多いので、職場は個室であることが多く、視角になっています。自分からしんどい、困っている、忙しいと伝えましょう。
また、産業保健師として勤務していても、産業保健以外の人事業務や業務の線引きが曖昧になっていて専門職でなくても良い仕事を任されることもあります。
業務量が多く、一人で抱えすぎてしまってキャパオーバーな時は、上司へ相談しましょう。
- 余裕がないことを上司に伝えましょう。
- 総務や安全課など所属している部署の上司に助けを求めましょう。
- できない仕事は「できない」と伝えましょう。
一度人間関係が悪化すると居心地の悪い環境になる
保健師業務は会社のライン(課長、係長など役職がある人)と連携をとり、業務を行います。しかし、人間関係が悪くなると、ラインの協力が得られずに業務に支障が出ます。
自分自身もストレスとなり、会社側にとっても健康経営が成り立たずマイナスになります。
- 相手と真摯に向き合いコミュニケーションをとる。
- 会社側が保健師に対する期待度がどれくらいなのか把握をする。
- 会社側の協力が得られない場合は、保健師の必要性を感じてもらえるように地道にコツコツとがんばる。
急変時の対応
医療行為がないとはいえ、職場の従業員が倒れたときは対応しなければなりません。特に多いのは、脳出血や心筋梗塞です。これは臨床経験が少ない人は対応は難しいので、臨床経験を求めるところが多いです。
また、工場などの機械を扱う所では機械による怪我も多く見受けられ、一次処置が必要な場合もあります。
診療所があり、産業医が常駐しているところでは対応ができるのですが、保健師しかいないところでは医療者は保健師のみとなるので対応しなければなりません。
- 急変時の対応は臨床経験で身につける。
- 臨床経験がない場合は、BLSなど一次救命措置を学ぶ。
- 急変時の対応の流れを社内で確認しておく。
世間話をする人がいないため楽しさに欠ける
仕事で人間関係に悩むことは多いですが、休憩時間やちょっとした空き時間に世間話をするのは楽しいです。「今流行りのアレ食べたことある?」「今日は天気が良いね」などの少しの会話がないのも寂しいです。
どんくさいミスをしても誰も笑ってくれないので、一人でクスッと笑うのみです。
今日一日誰とも喋らずに終わってしまったな、、となる日もあるので、気分が落ち込まないように注意です!
- 好きな音楽を流して雰囲気を良くする。
- 食堂で昼食をとり、社員のみんなと仲良くなる機会をつくる。
- 廊下ですれ違う時は必ず挨拶をする。
- 社内連絡はメールではなく電話や直接会いに行って話す。
産業保健師ひとり職場の会【開催してみた】
SNS上で一人職場の悩みを抱える人が多く「話し合いできる場が欲しい」と意見があり、開催をしてみました。
開催日時 | 平日19:00~20:00 |
方法 | ZOOM |
参加者数 | 4名 |
産業保健師歴 | 3ヶ月~8年 |
様々な経歴や経験のある産業保健師が意見を出し合う場となりました。
産業保健ひとり職場会の感想
一人職場会を開催してみた感想をまとめました。
- 4人と少数なので話しやすい。
- 経験が浅くてもわからないことを相談しやすい。コミュニティ等はハイレベルで基本的な内容が聞きにくい。
- 一人職場でも全国出張があったり、ひとつの事業所に常駐していたり、環境が違うので勉強になる。
- 管理職との関係性づくりが上手な人、事務処理が得意な人、メンタルケアが得意な人などそれぞれに得意分野を持っている。共有することで自分のスキルが上がる。
今回開催してみたところ大好評だったので、今後は定期開催や気軽に相談できるコミュニティを検討しています。
【まとめ】産業保健師の一人職場のリアル
メリット・デメリットをそれぞれ理解し、一人職場が良いのか、複数スタッフがいる方が良いのかを考えて選ぶと転職後もイキイキと働くことができます。