看護師から保健師へ転職すると、人の生命の危機に立ち会う瞬間が少ない分、やりがいがないと思われることが多いです。
しかし、保健師は人の人生に長く関わることができ、幅広い保健活動を通して、保健師ならではのやりがいを感じることもあります。
さらに、保健師の現場は、向上心が高い人達が集まっていて、仕事が楽しいと感じる場面も多いです。
本記事では、実際に保健師の仕事を通して感じたこと、やりがいを感じる瞬間を紹介しています。
保健師になりたい!と思ってくれる人が増えたら嬉しいです。
保健師の仕事は楽しい!やりがいを感じる瞬間10選
看護師から保健師へ転職する際に、保健師ならではの仕事が楽しいと感じることや、やりがいを感じる瞬間は以下のようなものがあります。
・人の人生に関わることができる
・生命の危機に関わる瞬間が少なく落ち着いて関われる
・自分の知識や経験が誰かのためになる
・一人一人にゆっくり関わることができる
・心理学を利用した関わりができて、面白い
・いろんな人生経験談が聞ける
・向上心の塊
・失敗を繰り返して成長するのを実感できる
・個人だけでなく集団へもアプローチできる
・最新のヘルスケア事情をキャッチできる
人の人生に関わることができる
保健師は人の命に直接関わる機会が看護師に比べて減ります。しかし、人の人生に長く関わることができるという魅力があります。
通院していても治療が上手くいかない人には、病院の選び方やセカンドオピニオンの提案をします。
保健師が介入することで治療が上手くいき、寛解状態を維持できれば、その人の人生をガラッと変えることもできます。人生を大きく変えるきっかけになれる存在であり、やりがいを感じます。
また、何気ない日常に健康の重要性にどれだけ気づいてもらえるかという点でも、健康へ意識が向くことで対象者の今後の人生をより良く、生き生きとした表情を見ることができるのも魅力的なポイントです。
関わる人々が健康に生き生きとすることで、自分自身も生き生きと前向きに明るくなれるところも保健師の仕事で好きなところです。
生命の危機に関わる瞬間が少ない
病院に比べて急変に出会う機会が少ないため、常にビクビクして働くことがありません。
病院のように緊迫した雰囲気が苦手な方、落ち着いて対応できない方、共感性が高い方は辛いと感じてしまうことの方が多いです。
しかし、保健師は生命の危機に関わる瞬間が少ない職場なので、自分の仕事に対して納得のいく行動ができ、やりがいを感じやすいです。
ごく稀に、緊急対応が必要になることがあるので医療者として一次措置はできるようにしておきましょう。
自分の知識や経験が誰かのためになる
医療従事者でない人や周りに医療従事者がいない人は、想像以上にヘルスリテラシーが低いです。
保健師として様々な人に関わると、ヘルスリテラシーの低さに衝撃を受けます。
・血圧の測り方がわからない
・体調が悪い時に、どの診療科に行けば良いかわからない
・医師は全ての病気を治してくれると思っている
・何か異変が起きた時に病院を受診をすれば大丈夫だと思っている
健康は生きる上で最重要ですが、義務教育で習うものではありません。
お金と同じように、社会人になって勉強しなければならないことの方が多く、家族や周りに医療従事者がいない人にとってヘルスリテラシーはかなり低いです。
そのような人々に向けて、健康に関する知識を提供し、予防医学の重要性を感じてもらえると嬉しくやりがいになります。
「全く知らなかった!テレビの情報しか見ないから、専門的な人に聞くのはやっぱり大事だね。ありがとう」という言葉をかけられることも多く、非常にやりがいを感じます。
保健師の活動は、医療に関わりのなかった人たちの為になることばかりです!
一人一人にゆっくり関わることができる
保健師は医療的なサポートが必要な人へも介入します。
一人一人に介入するため、必要な面談時間は必ず確保し、ゆっくり関わることができます。
看護師は入院期間のみの関わり、もしくは外来受診時の一時的な関わりが多いですが、自治体保健師は対象者がその地域に居続ける限り介入するので長く関わることができます。
また、産業保健師も対象者が従業員で居続ける限り介入は継続します。
看護師よりも関わる期間が長いため信頼関係も構築され、対象者への寄り添いができ、保健師自身も納得のいく関わりができます。
一人一人丁寧に関わりたい人には向いているお仕事です!
心理学を利用した関わりができて、面白い
保健指導や面談など対象者への介入をする際、一筋縄では行かないことが保健師の活動で一番難しい部分です。
そのような時に、医療の知識だけでなく心理学を利用すると対象者と楽しく健康について話すことができます。
これから保健指導で使える心理学を3つ紹介します。他にも深掘りすればするほど心理学は保健指導で活用できて面白いです。
唐辛子やスパイスをふりかければ、食べる量が少なくても満足感が得られるという研究結果があり、保健指導で原料に関する豆知識を提供したり、自分の健康にも活かすことができます。
鬱な人がますます鬱になっていくメカニズムです。人の心理を理解していれば、うつ状態になった時に医学的な対策に取り組みやすくなります。
医療の知識だけ提供していても、堅苦しく素直に聞いてくれないこともあるので、別の視点から話すなど試行錯誤して保健師スキルを向上させていくことができることに面白さを感じます。
オムレツとバナナは栄養が摂れるだけでなく、気分までハッピーになります。
「幸せになる秘訣は、黄色のものを食べること。おひさま色の食べ物を食べると70%が幸福を感じる」という研究結果もあり、楽しみながらヘルスリテラシーを高めるのに繋がることもあります。
保健指導では医療の知識や技術だけでなく、心理カウンセラー的要素も必要です。
そのため心理学を使うこともあり、人の心理に基づいた様々なアプローチ方法を行うことで対象者の変化を感じることができるのも面白いです。
いろんな人生経験談が聞ける
保健師は人の人生を支える役割があります。人の人生経験を深掘りすることも多く、対象者のために傾聴しますが、最終的には自分のためにもなります。
保健指導や面談をする際、以下のような背景を考えながらアセスメントしていきます。
・どのような人か?性格は?
・対象者の一番の問題は何か?
・どのような経緯で問題が発生しているのか?
対象者のバックボーンを知ることも重要で、十人十色の人生を聞くことができ、自分の人生のヒントになることもあります。
昔と今は時代が違うからね。昔は祖父母と一緒に暮らして、地域みんなで支え合ってきたけど、今は個々で生活してるからね。病気に気づいてもらうこともなくて。頼れる人が少ないから、家族だけは関係を持っておかないとね。
私が若い頃、この仕事をする前はホストをしていたんだよ。だから気配りは得意な方なんだよね。メンバーの面倒見るのも好きだし、良いポジションだと思う。
このように様々な人の人生経験談を聞くことができるのは、大変興味深いと感じる人も多いです。
向上心の塊
保健活動には正解がありません。
教科書通りに対応していても、対象者の性格や対象者を取り巻く環境によって、保健活動後の結果は全く異なります。
どのように対応すべきか、保健師同志で意見を出し合い、試行錯誤しながら介入していきます。
そのため活発的な意見交換をする機会が必要であり、様々な人の意見を聞いて参考にしたり、討論することが好きな人には自由度が高く面白いと感じる場面が多いです。
より良い保健活動をしよう!と向上心のある人たちが集まっているので、前向きなのも良いですね!
失敗を繰り返して成長できる過程があり、成長を実感できる
医療業界は少しのミスも許されない環境でしたが、保健師の活動は何度も失敗を繰り返して、毎回介入の質を上げていくスタイルです。
正解がなく、変数部分がほとんどを占めているため、以下の一連の流れで活動していきます。
PDCAサイクルと呼びますが、このサイクルを何度も何度も回し、対象者に関わっていきます。
失敗を繰り返すことで自分なりの正解が見えてきたり、少しずつ成長していく自分の姿を感じ取ることができます。
問題解決が難しいからこそ、解決した時の達成感は人一倍大きく、これは仕事だけでなくプライベートでも活かすことができ、トータル的に人生の質が向上します。
個人だけでなく集団にアプローチすることで大きな変化を感じる
保健師は個人に対して保健指導や面談を行いますが、集団へもアプローチすることがあります。
主に以下のような健康教育や健康相談をする企画を行います。
・地域住民を集めて、生活習慣病対策の健康教育を実施する。
・社内の特定保健指導対象者を集めて、集団指導をする。
・健康診断時に健康ブースを設置し、健康相談を実施する。
このような集団へのアプローチが上手くいくと地域住民の雰囲気や社内の雰囲気がプラスに向いたり、ヘルスリテラシーを高めることができ、大きな成果が得られます。
集団や組織を大きく動かせたときは、臨床現場では感じられない大きなやりがいを感じます。
最新のヘルスケア事情をキャッチできる
医療は常に進歩しています。同時に、保健師も最新情報をキャッチして世に広めていく役割があります。
例えば、コロナ禍でも研究結果や国内の対策、政治活動にもアンテナを張り、常に最新情報を取り入れて対応してきました。
コロナ禍以外にもヘルスケア業界は、近年働き方改革なども含めて疾病予防の重要性が広まってきています。健康機器などもトレンドを押さえることで自身の保健活動に活かすことができます。
必要だと感じた時にすぐに実施する行動力がある人は楽しいを感じることが多い職業です。
【まとめ】保健師の仕事で感じるやりがい
今回は、保健師のやりがいを感じる場面を紹介しました。
看護師に比べると人の命を救えたという感覚が少なく、やりがいが少ないように感じますが、保健師は人の人生に寄り添える素敵な仕事です。
保健師は看護師に比べると狭き門で就職するのは難しいですが、試験対策や書類・面接対策をすれば誰でも内定をもらうことができます。
私は転職サポートを始めて5年目になりますが、毎年内定者が続出しています!「私も挑戦してみたい!」と思った人はぜひ参考にしてみてください。
行政保健師への転職を検討している人は、公務員試験対策をこちらの記事「公務員試験対策の流れとおすすめ参考書紹介」に掲載しています。
産業保健師への転職を検討している人は、こちらの記事「未経験から産業保健師の内定を掴む転職ノウハウ」で解説しています。