産業保健師は、とても人気のある職業ですが求人が少なく、病院面接とは違って内定を貰うハードルが高いです。
これまで15社ほどエントリーし、面接に進んだのは5社、内定を貰えたのは2社。実際に面接を受けた5社を比較すると、倍率や面接官、面接内容や雰囲気もそれぞれで採用スタイルは様々でした。
看護師は受けたら内定が貰える比較的楽な就活ですが、企業の面接は堅苦しいイメージがあって不安ですよね。
今回は、実際の倍率や面接の状況など経験談を通してわかったことを紹介します。
◇実際に受けた企業の面接内容、倍率、給料、面接官
◇不採用になった理由
◇良い企業の見極め方
まだ面接まで進めず、書類選考落ちしている方は、ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

\ 個人的おすすめ /
産業保健師選考の流れと採用倍率

産業保健師を目指している方は非常に多いです。
看護師の転職とは違い、選考段階が多く、内定までに長い時間がかかります。
簡単に選考の流れと倍率をまとめました。
産業保健師の面接の流れ
企業が50~100名と多数の中から
面接候補者を厳選します。
現職の保健師や直属の上司(課長)と
面接をします。
適正検査やグループ面接なども行われます。
社長や支店長などトップの人
と面接をします。
基本的に個別面接です。
ようやく採用が決定します。
長くて2~3ヵ月かかります。
産業保健師の倍率が高くなる時期
産業保健師の倍率は、時期によって異なります。
【産業保健師の倍率】
(6月〜7月、11月〜12月)5~10倍 (1月〜3月)100倍
特に多いのは1月〜3月(次年度4月からの採用枠)で、看護師は年度末退職が多いためこの時期は募集が殺到します。
次に多いのは6月〜7月、11月〜12月で、ボーナスを貰って退職する保健師が多く、空きが出やすいです。

保健師は一度就職したら辞めない印象を受けている人が多いですが、実は保健師間転職も多いです!
倍率は企業によって様々ですが、人気の求人は50~100倍となることもあります。
受験者が増加する時期はレベルが高くなるので、未経験者は早めの対策をしましょう。
産業保健師の面接を5社受けてみた!大手企業の転職経験談

今回は、私の面接履歴を紹介します。
・保健師の面接ってどんな感じなの?
・何を聞かれるの?
・倍率ってどれくらいなの?
・どんな人が受けているの?
企業面接を初めて受ける方に向けて、私が実際に体験した面接の詳細を紹介します。
①大手製造業
倍率 | 5倍(5名中1名採用) |
体制 | 保健師2名 |
雇用形態 | 正社員 |
給料 | 年収300万程度 |
面接官 | 常駐産業医2名、人事1名 |
企業の特徴 | 製造業、工場内に事務所あり |
条件 | 未経験OK、保健師資格必須 |
受験者の特徴 | 20代女性が多く、未経験者・経験者どちらもいる |

通勤1時間半でしたが企業のことが分からず、初めてのエントリーだったのでとりあえず受けてみました。
今後ご縁があれば一緒に働くであろう保健師の方はとても好印象な方で、挨拶だけでも落ち着いた雰囲気ですごく良い印象がありました。しかし、保健師は面接官ではありませんでした。
面接中、人事の方は一般的な質問が多い面接でした。
しかし、常勤の産業医がこだわりのありそうな印象を受けました。私は相性が合わなさそうなイメージを受け、面接の途中で諦めてしまいました。

喋ってみた印象や職場の雰囲気を感じられるのは、面接に行かないとわかりません。とりあえず受けてみるのも大切です。
②大手製造業
倍率 | 40倍(40名中1名採用) |
体制 | 保健師3名 |
雇用形態 | 正社員 |
給料 | 月30万円~ |
面接官 | 保健師2名(50~60代女性) |
企業の特徴 | 駅ビルの中にあるオフィス |
条件 | 未経験OK、男性保健師大歓迎、保健師資格必須 |
受験者の特徴 | 1次面接(病棟勤務30代男性、産業保健師1年目30代女性) |
こちらは一般的な大企業のしっかりとした面接の流れがありました。
書類審査
⇒1次面接(個人面接・集団面接)
⇒2次面接
面接官は60歳近い方々で、看護師長っぽいベテラン感漂う雰囲気がありました。
書類審査を通過したのは10名程度です。面接日も3日に分かれており、同日に受けた人は他に2名いました。そして、集団面接も同日に行われました。
集団面接のテーマ
「志望理由を一人ずつ言い、3人で話し合ってください。テーマはありません。」
年齢も経歴もバラバラな3名での討論で、テーマがないことに驚きました。
小児経験しかなく、経験豊富な30~40歳のベテランに挟まれ、話す内容が合わなかった印象が強かったです。
人見知りでもあったので萎縮してしまい、ほとんど発言できずでした。
まず、テーマがない事自体、自分の意見も持ちにくく、話しづらかったです。結果はもちろん不採用でした。
不採用理由は、協調性がないから。
私は協調性のあることが唯一の「自己アピールポイント」でした。何のテーマもない話し合いでは自分の意見が持てず、発揮できなかったことが原因だと感じています。
おそらく集団面接で協調性を見たかったのだと思いますが、そうであればちゃんとテーマの設定をすべきではないか?と思いました。
様々な思いがありましたが、「このような会社は、入職して頑張っても評価されないかも…」そう思い、前向きに次の転職先を探し始めました。
転職エージェントからもそのような印象はないとはっきり言ってもらい、協調性が私の長所だと自信を持っていたので、気にしていませんでした。
面接官もプロではない!
企業に入ってから人事と関わることが多く、「採用に失敗した」「面接だけじゃその人がどんな人かなんてわからないよ」という声も聞きました。
不採用だったからといって、落ち込む必要は全くありません。もっとしっかりと自分の良さを知ってもらえる会社を見つけましょう。
③大手物流企業
倍率 | 6倍(6名中1名採用) |
体制 | 保健師1名 |
雇用形態 | 正社員 |
給料 | 月30万~ |
面接官 | 看護師1名、人事課1名 |
企業の特徴 | 物流倉庫内の事務所 |
条件 | 未経験OK、保健師資格必須 |
受験者の特徴 | 詳細聞けず不明 |
勤務されている方が定年退職とのことで後継者募集でした。
面接自体は1時間で、健康管理室で行ったので面談のような雰囲気でした。人事の方も「あまり丁寧な言葉を使わないでくださいね」と言ってくださり、良い印象でした。
ですが、面接の最後の質問コーナーで企業と自分の方向性の違いを感じました。

今後の目標や目指しているところは何ですか?

今はメンタルが増えてきていることが課題です。メンタル系の病気を発症をゼロにするのはできないと思う。だから、病気になった人の復職率を上げていきたいですね。
私の意見としては以下の2つです。
①メンタルが多い会社は健康経営の意識が低い。
②精神疾患はできるだ早いうちにケアすることが必要。
メンタルヘルスが多い=ブラック企業。健康管理を重視していないという判断材料にもなります。
ブラック企業は保健師の働きかけがかなり重要になります。会社側も保健師の重要性を感じておらず、雑用を押し付けられたり、うつ状態にある社員に気づいていても、保健師に繋げてくれなかったりと大変苦労します。
かなり行動力がないと企業を変えるには難しく働きにくさを感じます。
精神疾患は発症してしまうと何十年とかけても完全に治すことはできず、一生付き合っていかなければなりません。
だからこそ、発症前に予防することが大事と思っていたので、意見の不一致で不採用となりました。
より説得力のある説明ができていれば、この人に任せたいなと思わせることができ、採用になったのかもしれません。
④大手物流企業(産業看護師)
倍率 | 不明 |
体制 | 看護師(保健師)2名 |
雇用形態 | 契約社員 |
給料 | 月22万〜 |
面接官 | 保健師(40代女性)、人事課長、人事係長 |
企業の特徴 | 主要都市支店 |
条件 | 未経験OK、看護師資格のみOK |
受験者の特徴 | 20〜50代まで年齢層は様々 |
看護師でも応募できる産業保健求人で、未経験でも可能でした。
面接内容は一般的な質問が多く、聞かれて困るような質問もありませんでした。
入社したら先輩になる看護師(40代女性)の方も面接官にいたので、業務内容の詳細やどのような時に残業が発生するかなど疑問点をその場で解決できたので良かったです。
2人職場では同僚との相性も大切なので、面接で直接話すことができると、入社後も安心です。
最初は緊張感のある面接でしたが、入社後のイメージがつきやすく、後半は自分のペースで話すことができたので終了後の感触も良かったです。
その後、無事内定をいただきました!
⑤大手物流企業
倍率 | 10倍 |
体制 | 保健師1名 |
雇用形態 | 正社員 |
給料 | 月26万〜 |
面接官 | 課長(保健師)、理事 |
企業の特徴 | 主要都市支店 |
条件 | 未経験OK、保健師資格あり |
受験者の特徴 | 20〜40代まで年齢層は様々 |
地方都市であり、2月採用という中途半端な時期だったため倍率は低かったです。
応募者の中には経験者も数名含まれていましたが、地方は口コミ率も高く、知り合いが多いのも特徴的です。
魅力ある人材であれば伝手で採用されることもありますが、あまり印象が良くない人は書類選考で落としたという話を伺いました。恐ろしいものです。経験者も日頃の態度に注意ですね!
面接内容は産業保健師でよく聞かれる質問が多く、和やかなムードで終えることができました。
産業保健の経験がある段階で面接したため、自社との違いや成功事例を盛り込むことができ、上手くアピールできたような気がします。
こちらは無事内定をいただきました!
採用率がアップする面接対策
高い倍率を通過するためには、面接対策は必須です。
・よくある面接質問は答えられるようにしておく
・逆質問でミスマッチがないか確認する
・伝えきれなかったことは逆質問でアピールする
産業保健師でよく聞かれる面接質問内容や採用率がアップする逆質問例はこちらの記事で紹介しています。
ぜひ面接対策の参考にしてください。

実際に産業保健師の面接を受けて感じたこと
・企業によってはブラックなところもある
・正社員採用の場合は自分に合っている会社か見極めも重要
面接はおよそ1時間なので、話していくうちに会社の雰囲気を掴むことができます。
求人数が少ない中で自分に合った職場を見つけるのは難しいですが、きっと自分に合った素敵な職場が見つかるはずです。
心が折れそうになったら、この記事を読んで元気を出してもらえると嬉しいです。

未経験でも産業保健師になれる転職ノウハウを発信しています。以下の記事にまとめているのでぜひ参考にしてくださいね。
