産業保健師の記録は、マニュアルや指定されているものがなく「本当にこれで良いのかな」と悩む人も少なくありません。
健康管理システムを使用している企業もあれば、紙カルテに手書きで記録を残している企業もあり様々です。
そこで、今回は産業保健師の記録の書き方や現場でやってみて良かった記録方法を記事にまとめました。
なんとなく業務のやりづらさを感じている人も、より効果的な記録方法が見つかるヒントになると思います。ぜひ現場で参考にしてください。
産業保健師が面談時の記録を残す3つの目的
産業保健師の面談記録は必ず残しておかなければなりません。
そもそも記録はなぜ書いて残しておかなければならないのでしょうか。
その目的は3つあります。
①保健指導の評価
②ほか産業保健スタッフとの情報共有
③リスクマネジメント
面談記録を残す理由は、看護記録同様、今後のフォローやスタッフ間連携のためです。一つずつ詳しく解説します。
①保健指導の評価
保健指導は継続して行なっていくものであり、記録を残しておくことではっきりと評価することができます。
客観的データと主観的データを記録することで次回の面接時に役立ちます。
以下に記入例を記します。
主観的データ(S)は対象者の発言そのままを記載し、また評価対象になる検査値を必ず記録します。
面談記録時に記載した方が良い内容などは次の項目で解説します。

約1000人を一人で担当するので、すぐに忘れてしまいます。記録を見て思い出せるので、今後の自分のためにもなります!
②他の産業保健スタッフとの情報共有

産業医・心理カウンセラーなど他スタッフと連携する際に重要な情報源となります。
産業医は月1~2回
心理カウンセラーは週1回
このように他のスタッフは常駐しているわけではないので、不在時の状況がわかるように記録をします。
面談記録を見ただけでどのような人かがイメージできるように記載できるような内容を記載しましょう。
記録に示して情報共有することで、産業保健スタッフ全員が方向性を統一させてケアを実施することができます。
③リスクマネジメント
産業保健では、安全配慮義務の観点からも指導した内容を記録します。
もし、労働災害などで事業者が安全配慮義務を遂行できなかったと訴えられた際に、記録は重要な証拠となります。
安全配慮義務とは
労働契約法 第五条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
つまり、安全配慮義務とは労働者が安全で働けるように配慮することです。
業務上事故が発生した場合、健康上のリスクはなかったか、体調不良でありながら仕事をさせていなかったか、リスク者に適切な保健指導をしていたか、事故防止の対策は十分だったか、など問われます。
必ず、受診勧奨をいつ、何回行ったか、対象者の反応など詳細を記載しておきましょう。
健康上のリスクが明確で、受診勧奨をしても従業員が受診拒否をしたり、指導に応じなかったりする場合があります。
保健師はきちんと保健指導をしていたことを示す材料となるので、細かく記載しましょう。
保健師の面談記録で記入した方が良い項目や内容
保健師の記録スタイルは看護師のように指定されたものはありません。必ずSOAPで書かなければならないというわけでもありません。
基本的には所属している社内ルールに従いますが、システムが整っていなかったり、産業保健をスタートさせたばかりは用紙が決められていません。
指定されたものがない場合は、自由記入でも構いませんが、記録に記載しておくと将来的に役立つ内容を紹介します。
健康診断などの数値データ
体重、血圧、数値データなどは、生活習慣病の予防に必ず参考にするものです。
体重
体重は短期間で大きな変動があるわけではありませんが、メタボリックシンドロームの判定や保健指導では参考になる指標です。
産業保健の特徴は、勤務期間はずっと従業員の健康管理をする責任があります。
現在は定年退職後も再雇用で働き、70代でも在籍していることがあるため、長くて20〜30年も関わります。
「入社時の20代は60kgだったのに、40代では体重が80kg台」など過去のデータがあると保健指導も介入しやすいですし、ヒアリングで活用できるのでおすすめです!

今リスクがなくても記入しておくことをおすすめします。
血圧
血圧は日々変動するものです。「健康診断はいつもと違う場所で緊張して高血圧になってしまった」というのもよくある話です。
普段の面談時の血圧を測り記録に残すことで、血圧の平均値が見てわかるようになります。
また、家庭内では血圧が低く安定していても、仕事中となると緊張感や責任感によって高血圧となる場合もあります。
この判断材料になるのが面談時の血圧になります。自宅で測定する習慣がない人が多いので、ヘルスリテラシーを高めるためにも毎回血圧を測りましょう。

面談でも緊張する人は多いですが、参考になるので毎回の記録をおすすめします。
数値データ
産業保健は病院のように定期的に検査データがあるものではありません。ほとんどの人が年一回ある健康診断のデータのみです。
数値データは必ず残し、産業医の判定や二次検査結果は必ず記載しておきましょう。
保健師が受診勧奨をしても受診しない場合(受診拒否)は、保健師が行動した内容とともに対象者の言動を細かく記載しましょう。

「保健指導に全力を尽くしましたが、受診しませんでした」と記載があるだけでも、リスクマネジメントになります。
産業医や産業保健師が面接した時の記録のポイント
健康管理に携わる専門職の記録は、正確でわかりやすいものが求められます。
【記録のポイント】
・対象者の健康問題が明らかであること
・経過がわかりやすいこと
・事実とその考えが明確であること
看護師同様SOAPを用いると、根拠に基づいたケアを行っていることが明確になります。
SOAPの書き方についてはこちらにまとめているので、参考にしてください。

必ず日付を記入しましょう。また、紙媒体の場合は誰が記録しているのかがわかるように必ず印鑑を押しましょう。
【面談記録の注意点】怪しいと思ったことも書いておく
産業保健記録は感じたことを率直に記載しましょう。病院とは違って、「ちゃんと健康管理してます」と言って面談を逃れようとする人も多いです。
「何か怪しいな…?」と思ったら、どんなに小さなことでもその時に記載をしておきましょう。
その後、他スタッフに情報共有すると改善策を検討することができます。
・要精査、要治療で受診鑑賞をしても未受診
・メンタル疾患を持っている
・発達障害が疑われる
病院では患者さんの管理は看護師・医師でしっかり行うことができます。
しかし、従業員の健康管理はあくまでも「自己申告」であることが多く、対象者の発言を鵜呑みにしてしまうと知らず知らずに就業中に倒れてしまうことも・・・
産業保健師・産業医が置かれている意味を考えると、専門職として、プロとしての対応が求められるので対応には注意しましょう。
【まとめ】産業保健師の記録の書き方
産業保健師の面談記録は、看護師同様スタッフ間との情報共有や何か労災などが起こった際に行ったケアの証拠となります。
また、1000人を1人で担当するのは非常に難しいです。必ず、自分が行ったことは思い出せるよう記録をしっかり残しておきましょう。



