看護師の残業原因の第1位は「看護記録」と言われています。
学生時代から実習のたびに膨大な記録を書いてきたのに、就職してからもまだ書き続ける……そう感じている方は多いはずです。
「なぜこんなに書かないといけないの?」
「記録さえなければ定時で帰れるのに」
そんな疑問を持ちながらも、毎日記録と向き合っているあなたへ。
この記事では、看護記録の基本「SOAP」の書き方と具体的な例文、そして残業を減らすための時短テクニックをお伝えします。
看護記録SOAPとは?基本の書き方をわかりやすく解説

SOAPとは、患者さんの看護問題に対して情報を整理し、看護計画を立てるための記録形式です。
| 記号 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| S | Subjective(主観的情報 | 患者さんが話した言葉・訴え |
| O | Objective(客観的情報) | 観察・検査・測定で得た情報 |
| A | Assessment(アセスメント) | SとOをもとにした評価・判断 |
| P | Plan(計画) | アセスメントに基づく今後の対応 |
それぞれの書き方と例文を詳しく見ていきましょう。
S(主観的情報):患者さんの言葉をそのまま記録する
Sには、患者さんや家族が話した言葉をそのまま記載します。
【記載例】
「手術した傷が痛くて、昨夜は眠れなかったです」
「昨日から食欲がなくて、半分も食べられていません」 (家族より)
「本人は痛みを我慢しているようで、顔色が悪いと感じています」
NG例:「痛みを訴えていた」 これはSではなく、看護師の解釈(=A)になります。患者さんの言葉そのものを書きましょう。
O(客観的情報):観察・測定したことを上から下の順で書く
Oには、看護師が五感で観察したこと、バイタルサイン、検査データなどを記載します。
書く順番は「頭→顔→胸→腹→脚→全体」の上から下の順にすると、記録漏れが減り読みやすくなります。
【記載例】
・BP 128/84mmHg、P 88回/分、T 36.8℃、SpO2 98%(room air)
・表情は少しこわばっており、眉間にしわが寄っている
・腹部手術創部:発赤なし、浸出液なし、ガーゼ汚染なし
・自力で寝返り可能だが、動作時に顔をしかめる様子あり
A(アセスメント):SとOをもとに「今どういう状態か」を書く
Aは看護記録の中で最も重要なパートです。
SとOで集めた情報をもとに、「この患者さんは今どういう状態にあるか」「何が問題か」「今後どうなる可能性があるか」を書きます。
【記載例】
術後創部の痛みが持続しており、夜間の睡眠も妨げられている状態と考えられる。 表情や動作時の様子からも痛みのコントロールが不十分な可能性がある。 今後、疼痛による活動意欲の低下や離床遅延につながるリスクがある。
「〜だと思う」はNG。「〜と考えられる」「〜の可能性がある」と記載する 主観(感情・推測)ではなく、SとOの根拠に基づいた判断を書く うまく書けない場合はAから先に書いて、あとからSとOを埋める方法が有効
P(計画):アセスメントをもとに何をするかを具体的に書く
Pには、Aで判断した内容をもとに、これから行うケアや対応を具体的に記載します。
曖昧な表現ではなく、「誰が・何を・いつ・どのように」行うかがわかるように書きましょう。
【記載例】
・疼痛スケール(NRS)で2時間ごとに痛みを評価する
・主治医へ鎮痛薬の使用について報告・相談する
・安楽な体位への調整を行い、クッションを使用して術創部への圧迫を避ける
・睡眠状況を翌朝の申し送りで共有する
看護記録が必要な3つの理由

「記録は面倒」と感じていても、その目的を理解すると取り組み方が変わります。
①24時間継続した看護を提供するため
②多職種との情報共有のため
③医療事故・インシデント時の事実確認と自分の身を守るため
①24時間継続した看護を提供するため
患者さんは24時間途切れなく看護を必要としています。しかし1人の看護師が担当し続けることはできないため、シフトを交替しながら看護を提供しています。
申し送りで伝えられる情報は最低限のものに限られます。記録があることで、入院初期からの経緯・変化の流れを誰でも確認できます。
②多職種との情報共有のため
医師、リハビリスタッフ、薬剤師など、申し送りに参加しない職種はカルテ(看護記録)を通じて情報を共有します。
たとえば脳梗塞で麻痺がある患者さんの場合、看護師が「食事の際に左手をうまく使えていない」と記録することで、リハビリスタッフが訓練内容を調整するきっかけになります。記録は多職種連携の土台です。
③医療事故・インシデント時の事実確認と自分の身を守るため
これが記録の中で最も切実な目的かもしれません。
たとえば投薬ミスが発覚した場合、記録があれば「いつから数がずれていたのか」「誰が最後に確認したのか」を時系列で追うことができます。
また、患者さんや家族からのクレーム・虚偽の申告があった際、正確な記録は看護師自身を守る証拠になります。「記録は自分のために書く」という意識を持つことが大切です。
残業を減らす!看護記録の時短テクニック3選

テクニック① 単語登録でタイピング時間を大幅に短縮
頻繁に使う医療用語や長い専門語はPCの単語登録に入れておきましょう。
・SpO2(えすぴーおーつー → SpO2)
・上部消化管内視鏡検査(じょう → 上部消化管内視鏡検査)
・バイタルサイン(ばいたる → BP ○○/○○mmHg、P ○○回/分、T ○○℃、SpO2 ○○%)
1回の登録に数十秒かかっても、毎日使えば年間で数時間の節約になります。
テクニック② 自分用テンプレートを作っておく
受け持ち患者さんの疾患や状態に合わせて、SOAPのテンプレートを事前に作成しておくと構成を考える時間が不要になります。
【テンプレート例(術後患者)】
S:「 」
O:BP ○/○ P○ T○ SpO2○%
創部:発赤(有・無)浸出液(有・無)
表情: 活動状況:
A:術後( )日目。創部の状態は(良好・要観察)。
疼痛は(コントロール良好・不十分)な状態と考えられる。
P:
空欄を埋めるだけで記録が書ける状態にしておくと、勤務終了間際でも焦らず記録できます。
テクニック③ アセスメント(A)から書き始める
記録が書けなくて詰まるとき、多くの場合「Aが浮かばない」からです。
コツは「今この患者さんの一番の問題は何か?」を先に頭の中で決めてしまうこと。Aを先に書いてから、その根拠となるS・Oを埋めていくと、まとまりのある記録が書けます。
ケアをしながら「今日のAはどう書くか」を頭の中でシミュレーションする癖をつけると、記録の時間が格段に短くなります。
看護記録SOAP:よくある疑問Q&A

まとめ|看護記録の質を上げて残業を減らそう
看護記録のポイントをおさらいします。
- S:患者さんの言葉をそのまま「」で記録する
- O:観察・測定内容を頭から足先の順で漏れなく記載する
- A:SとOの根拠をもとに「患者さんの今の状態と今後のリスク」を書く(一番重要!)
- P:具体的なケアや対応を記載する
時短のために今日からできることは次の3つです。
1.よく使う医療用語を単語登録する
2.受け持ち患者に合わせたテンプレートを作る
3.ケアをしながら「今日のA」をシミュレーションする習慣をつける
はじめは時間がかかっても、SOAP形式に慣れてくると頭の中でアセスメントをしながらケアができるようになります。記録の質が上がれば、書く時間も自然と短くなっていきますよ。
それでもまだ「この職場、合わないかも」と感じているなら、 一度転職市場をのぞいてみるのもアリです。

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