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産業保健師が実際にやりがいを感じる瞬間【体験談】

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産業保健師は、病院看護師より責任が軽く、命と隣り合わせの看護師よりやりがいは少ないと印象があります。

しかし、産業保健は奥が深く、組織を大きく動かすことで企業成長を支えたり、従業員が元気に働いている姿を一番近くで見られるのが醍醐味です。

産業保健師はどこでやりがいを感じているのか?
産業保健師は何が楽しいのか?

産業保健師になって4年が経ち、実際にどのような場面でやりがいを感じているのかについてまとめています。

これから産業保健師をやってみたいなと考えている方、今産業保健師をしているけどやりがいを感じられていない方はぜひ一読してみてください。モチベーションアップになること間違いなしです!

目次

産業保健師のやりがいが少ない理由

産業保健師のやりがいを感じた瞬間

命が助かったと感じる場面が少ないから

病院の患者さんは体のどこかが悪く、「なんとかしてほしい」と悪いところを治しに来ています。ですが、産業保健師は予防の面で人と関わるため、会社の従業員は「このままでいい」と思っている人がほとんどです。

業務は主に生活習慣病予防になるのですが、大きな病気を発症する前の高血圧、脂質異常症などの状態では自覚症状がなく命を助けてもらったという感覚がありません。

そのため、直接心から「ありがとう」と言われることが少なく、やりがいを感じる場面は少なくなります。

従業員は健康を求めているのではなく、仕事に来ているから

病院の患者さんは治療をするために医療従事者を頼りに病院へ来院しています。しかし、会社の従業員は仕事をしに来ています。

健康になりたくて出社している訳ではないため、保健師が積極的に介入しても「もうほっといてくれ」「余計なお世話だ」と言われることも多いです。

「ありがとう」と言われることなく「もう関わらないで」と拒否されるため、やりがいは非常に少ないです。

産業保健師をしてやりがいを感じたケース

産業保健師のやりがいを感じた瞬間

私がやりがいを感じているのは、重篤な病気を防ぐことができた時や健康状態が維持できた時です。一人一人が元気に働けることで個人のパフォーマンスが向上し、企業の利益アップにも繋がります。

かなりの高血圧で脳卒中など合併症を防ぐことができた

40代男性で健康診断結果で高血圧の方の面談をしていた時のこと。Aさんは保健指導面談で、血圧が180/140でかなりの高血圧であったことが分かりました。

Aさん

2年ほど前まではそこまで高くなかったから、ダイエットしたら痩せるだろう。

hana

体重増えていますもんね。緊張もしているのかもしれませんね。
痩せれば下がると思いますけど、心配なのでまた面談の最後に測りましょうか。

このように私も焦ってはいませんでしたが、何度測定をしても180/140。Aさんも驚きを隠せず怖くなった様子でした。

この日、運転業務があったため即中止し病院受診をしてもらいました。

産業医の先生からは血圧が下がるまで運転業務中止の指示があり、詳しく検査をすることに。ホルモン検査でも異常ないことが分かり、生活習慣と内服での治療が必要となりました。

1週間後、血圧は下がり、それまで中止していた業務は再開。この時、いつ倒れてもおかしくない状況であったのですぐに対応でき、合併症を防ぐことができたのはホッとしました。

Aさんも倒れずに済んだのですが、このAさんには家族がいます。一家の大黒柱が倒れては、家族の人生をも変えてしまいます。Aさんの家族も救えたこと、本当にうれしく感じました。

糖尿病で血糖コントロールが難しい人が働き方を変えることで安定できた

糖尿病は自覚症状がないままに進行してしまうため、血糖コントロール不良の方が多いです。私が介入したBさんもHbA1cが12~13のまま、三大合併症を引き起こし始めている時でした。

Bさん

インスリン注射はなかなか打てない。仕事が忙しくて、ご飯が食べられない時があります。低血糖も怖いし、インスリン注射したくないんですよね。

hana

そうだったんですね、仕事が忙しくて治療がちゃんとできていないんですね。このままでは働けない体になってしまうので、上司に業務量を調整してもらいましょうか?

Bさん

うーん、本当はそうしてほしいけど。そんなこと私一人のためにできるのかな。

hana

一度私から相談してみますね。
合併症のリスクについても詳しく上司に伝えておきます。

私はBさんの治療が上手くできていない原因を見つけ、上司に相談しました。上司は医療者ではないため、糖尿病の合併症リスクや低血糖リスクについて詳しく話しました。

上司

こんなに怖い病気なら、治療を優先してもらいたい。Bさんはすごく仕事ができて戦力になっているし、今後も長く居てもらいたい。
治療できるように業務量を調整して昼休憩はしっかりとれるようにします。

このように、業務を調整したことでBさんは適切な治療をすることができ、数値も改善。Bさん自身もホッとしており、不安なく生活が送れていることに喜びを感じていました。

この時はなかなか聞けない「ありがとう」と言われ、私も嬉しく感じました。

産業保健師のやりがいは自分で気づくもの

保健師は感謝されることが少なく、関わっていても人を助けたという時間が臨床現場よりも減るのが特徴。

ですが保健師の活動は臨床現場よりももっと大きな効果があり、大多数の人の命が救えているのは間違いありません。

・病気にならない、何も起こらないのが一番良い状態
・病気を発症したとしても、最小限に抑えられている

保健師をしていて「やりがいがないな」「あまり役に立てていないな」と感じた時は、これを思い出してください。

一つひとつの保健指導や受診勧奨、健康教育がたくさんの人を救っているのは事実です。

悪くならなくてよかったね、今対処できてよかったね。と対象者へ話すようにしています。

産業保健師がやりがいを感じることまとめ

産業保健師は、やりがいを感じる場面が少ないです。その理由としては以下の2つです。

命が助かったと感じる場面が少ないから
従業員は健康を求めているのではなく、仕事をしにきているから

この2点を理解したうえで、業務を行うと小さな喜びを感じることがあります。「なにも起こらなくてよかった」これがやりがいを感じる瞬間です。

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