副業が推奨されているなか、企業では未だに多くの企業が副業禁止となっています。それは、長時間労働も要因のひとつであると言えます。
◇政府は副業を推奨しているのに、なぜ企業は副業禁止なの?
◇副業をしている労働者の健康管理はどうしたらいいの?
◇副業している労働者の保健指導はどこまでするべき?
近年、副業があたりまえとなってきており従業員の健康管理もさらに難しくなってきています。ダブルワークをすることで「病院に行く時間がない」「治療ができない」といった悩みも増えてきています。
保健師はどこまで関わるべきなのか?企業はどこまで従業員の健康管理をする義務があるのか、について解説します。
副業をしている従業員の健康管理は、労働時間を通算して評価する
労働基準法第38条
引用元:労働基準法
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する
※事業場を異にする場合とは、事業主を異にする場合も含みます。
本業・副業で雇い主が異なる場合でも、雇用関係が発生しているのであれば双方の労働時間を通算する必要が生じるということ。
A社(8時間労働)+B社(2時間労働)=8時間
これは労働時間が1日8時間を超えるため、厳密に言うと割増賃金の支払いが必要です。また、36協定の締結や毎月100時間未満・複数月平均80時間以内という時間外労働の上限規制も遵守しなければなりません。
「通算」となることによって企業が副業禁止を出しており、副業解禁に後ろ向きな理由のひとつとなっています。
副業時間の把握は自己申告
政府は「働き方改革実行計画」にて副業・兼業の普及を図る方針を示しています。
では、どのように副業時間を把握すればよいのでしょうか?
ガイドラインに記載されている基本的な考え方は、副業先における労働時間は「従業員からの申告」によって把握します。
そうは言っても副業禁止を言われていれば、自己申告はもちろんできませんね。
産業保健が行う従業員の健康管理の範囲は?
長時間労働者に対し、医師による面接指導を行っています。現在のところ、その対象者の選定にあたり労働時間を通算する必要はありません。
しかし、副業によって長時間労働となると、従業員の健康リスクが高まります。保健指導をする上では重要な情報なので見逃すことはできません。
従業員が副業をしていることを知っても、保健師は守秘義務があります。安易に、「あの人副業していて忙しいから病院を受診してくれないんです」といった発言や不要な情報提供は控えましょう。
まとめ
・副業をしている従業員の健康管理は、労働時間を通算して評価する
・産業医面談の対象者選定では通算する必要はなし
・副業禁止でありながら副業を隠している従業員の事実を知っても、守秘義務があるので他に漏らすことをしてはならない