生活習慣病の予防のためにも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は非常に重要です。
一般的に車両を運転する業務に就いている人は、安全配慮義務のため睡眠時無呼吸症候群の検査を定期的に行わなければなりません。
それだけではなく、生活習慣予防にもなりますのでここでしっかりとチェックする項目を学んでおきましょう。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠時無呼吸症候群は様々な原因により寝ている間に呼吸が止まってしまう病気のことをいいます。
以下のような症状のある方は一度検査を受けてみましょう。
【症状】
☑激しいいびきをかく
☑呼吸が急に止まる
☑呼吸が乱れたり、息苦しさを感じる
☑何度も目が覚める
☑日中の眠気がひどい
検査
検査は睡眠外来で受けることができます。
検査の流れは、簡易検査➡精密検査と段階的に行うのが通常です。
簡易検査
この検査は寝ている間に指先にセンサーを付けて簡単に行うことができます。
イメージとしてはSPO2モニターのような感じです。
簡易検査で軽症~中等症となった場合は、精密検査(PSG検査:終夜睡眠ポリグラフ検査)は一泊の入院をおこないます。
PSG検査(一泊入院)
簡易検査の項目に加え、脳波や筋電図・眼球の動きを測定することで、睡眠の深さや覚醒反応の有無、睡眠効率などを呼吸状態の詳細とあわせて評価します。
《検査の基準値》
1時間あたりの無呼吸の回数(AHI)
正常 | 軽症 | 中等症 | 重症 |
<5 | 5~14 | 15~29 | 30≦ |
(睡眠時無呼吸症候群)睡眠不足が肥満の原因になる

睡眠時無呼吸症候群の方は睡眠不足になります。
睡眠不足の状態は食欲をアップさせるグレリンが上昇し、食欲を抑えるレプチンが低下します。
これが原因で、ついつい食べてしまうようになり、肥満になります。
また、睡眠が4時間以下の人は、7時間から9時間寝る人に比べて73%以上太りやすいという結果が出ています。
原因は起きているときの消費エネルギー以上につい食べてしまうことが多いのかもしれません。
つまり、太りやすいホルモン環境になっているということです。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法

治療は、マウスピースやCPAPという機械をつけておこないます。
シーパップは寝苦しかったりしますが、慣れてくると機械がないと眠れないといったようになります。
保健指導のNGワード

なるべく早く寝るようにしましょう。
これは相手の生活状況を完全に無視した保健指導になります。
サラリーマンは「残業で夜遅くなってしまって寝れない」という方が非常に多いです。 相手の生活状況や業務内容などを理解し、 改善策を見つけましょう。
《改善策の例》
業務が必要以上に多いのであれば保健師の方から会社へ配慮してもらえるよう提案しましょう。
①会社に業務の短縮ができないかどうか
②仕事の振り分けができないかどうか
このように生活の状況をしっかりと把握し、改善しやすい方法を一緒に見つけていくことが保健師の役割です。
相手を不快にさせない保健指導のポイント

遅くまで仕事で大変ですね。睡眠不足は肥満になりやすいホルモンを作りやすくなる環境になります。早く眠れる時はゆっくり休んでくださいね。
このようにまずは休養が摂れていないことを労わりましょう。
相手の状況を理解しています、と示すことも大切です。

寝不足の時は仕事中にぼーっとしてしまって、事故を起こさないか心配です。
昼寝でもいいですから、睡眠不足を解消するようにしましょうね。
このように相手にあなたのことが心配ですとアイメッセージを送りましょう。そうすることで、相手との信頼関係も築きやすくなります。
まとめ
SASは車両運転業務のある方は必ず行います。
治療がしっかり行えていないと、就業中に事故を起こすリスクが高くなります。また、体重も増大し高度肥満になっていく可能性が高いです。
保健師が労災の予防や従業員の健康管理をしっかり行えるよう働きかけていきましょう。