新人の看護師の皆さんへ、社会人としてのスタートでたくさんの悩みが浮かんでくることでしょう。以前の生活とは一変して、次のような悩みが出てくるかもしれません。
①先輩たちのように馴染めるのか不安になること
②いつも怒られてばかりで、自分の存在自体が否定されているような気持ちになること
③何をやっても上手くいかず、先輩に呆れられているのではないかと心配すること
このような悩みを抱える新人看護師は非常に多いです。私自身も実際の経験から、知識も技術もなく、このまま上手くやっていけるのか不安でした。
しかし、1年後には先輩と世間話ができるようになり、仕事上でも気軽に相談できる関係になりました。
そこで、私が経験に基づいてまとめた、新人看護師が先輩と上手くやっていくための方法を共有します。
新人看護師の3大悩み
仕事が辛い
新人の最初に悩むことは、仕事の覚えが遅いことや自分にはできないと感じることです。
看護師の仕事は確認事項が多く、ミスは許されません。だからこそ、確実に仕事を覚えなければならないのですが、人は一度で全てを覚えることはできません。何年も働いている先輩と同じレベルで働くことはできませんし、それは当然のことです。
・知識不足で瞬時にアセスメントができず、患者さんとのコミュニケーションで悩む
・業務の優先順位を付けることが難しく、あまりの忙しさに対処できない など
このような辛い仕事について、一人で悩み抱えることは多いですが、先輩や上司に相談することが重要です。
勉強が大変
看護師は国家試験で勉強をしていますが、それでも専門的な知識が必要とされるため、新人時代は勉強が大変です。
患者へのケアには瞬時の情報収集と判断力が必要であり、常に患者のそばにいる看護師には医師と同等の知識が求められます。
- 国家試験で勉強してきたのに、全然足りないと感じる
- ただでさえ慣れていない仕事をしてきたのに、忙しい日々のなかで勉強時間を確保できない
- 仕事で疲れてすぐに寝てしまい、勉強をする時間が取れない自分に落ち込む
これらの状況が新人看護師を悩ませる要因となりますが、実際に私は次のような方法で対処してきました。
・明日担当する患者の病気について事前に把握し、最低限の知識を身につけるよう努めました。
・自分の目の前の業務に集中し、その中で学ぶことに重点を置きました。
働きながら勉強をするのは大変ですが、私は明日受け持つ患者さんの疾患を事前に把握して最低限のことは理解できるよう目の前のことだけに集中して勉強をしていました。
新人の時期は大変ですが、経験を積みながら成長していくものです。先輩や上司に頼りながら、一歩ずつ前進していくことを忘れないでください。

勉強が苦手な方、なかなか自分で勉強できない方はオンラインセミナーの利用も良いですね。
参考:看護師の『悩み』を『成長』につなげるためのオンラインセミナー『ナースタディ』
職場の人間関係が上手くいかない
人間関係の悩みは、新人だけでなく先輩や上司も悩んでいることが多いです。
- なんでできないの?と言われることが多い
- できなさすぎて呆れられる
- 業務が進まず怒られる
このように新人は、先輩から怒られることが多いです。
人で不足な病棟では、少しでもはやく仕事ができるようになってほしいと願うものです。そして、ミスをすると患者さんの死にも繋がる危険性が常にあるので、先輩の指導はどうしても厳しくなってしまうものです。
新人に期待しているうえでの発言であることが多いので、「怒られた」「怖い」と感じるだけではなく、指導されたことをしっかりと振り返り、自分のものにしていくことも大切です。
一人立ちして先輩から信頼されることで、人間関係も良くなっていくので、最初は大変かもしれませんが辛い時は誰かに相談してみましょう。
新人看護師の離職率は8.6%までに上昇しています。
(参考:2020年 病院看護実態調査https://www.nurse.or.jp/)
退職理由として、「人間関係が良くなかった」が男性4位、女性3位であり、離職を決断する大きな転機となっていることがわかっています。
(参考:新人看護職員の早期離職理由~心理的プロセスの検討~ 柏田三千代-国際情報研究、2018-jstage.jst.go.jp)
仕事で一番のストレスは、人間関係です。
看護師は気が強い人が多く、先輩と上手くいかないことが原因ですぐに辞めてしまう人が増えています。そのため、人間関係を良くする方法を次にご紹介します。
先輩との上手な関わり方
①報・連・相で先輩とのコミュニケーションを多くとる
人間関係が上手くいってない原因は、コミュニケーション不足が多いです。
私も、些細な事で怒られることがありました。
新人はナースコールを取ることが多く、先輩が担当する患者さんのもとへ行くことがあります。患者さんの点滴が終わっていた時、先輩へ対応をお願いをしたことがあります。

「今は忙しいから無理。忙しいのは見てわかるでしょ。」
先輩の担当であっても、このように断られることがありました。
この態度にいらいらしたこともありますが、1年程一緒に働いて先輩の性格を知るうちに、怒っているのではなく、キャパオーバーになって焦っているだけなんだな、と分かり他の先輩へ事情を説明して対応してもらえるようになりました。
先輩と多く接して、その人がどんな性格かを知ることが大切です。
相手をよく知っていると、何か予想外なことが起きても「想定内」と捉えることができるので、イライラすることが少なくなります。
パートナーシップナーシングシステム(PNS)で働いていると、2人で協力して仕事をしなければならないので自然と報告・連絡・相談も増えるため、人間関係が良好になりやすいです。
②先輩や上司の発言は素直に受け入れる
働いていると、理不尽な発言に対して萎縮してしまったり、イライラしてしまうことがあります。特に、マニュアルにない細かい業務について指摘されることが多く、悩んだ経験があります。
例えば、A先輩に採血の手順で消毒前にアルコール綿を使いやすいように袋から出しておくようアドバイスを貰い、毎回そのようにしていました。

あらかじめ出しておくと不衛生になるから、使うまで出さないで。
その手順をB先輩が見てこのように注意されました。
細かいところは人それぞれやり方が違うので、戸惑うことが多いです。B先輩に「A先輩に教わった」と言い返すと、先輩同士の関係も崩れていき、裏で悪口を言われたりすることもあるので注意が必要です。
先輩の発言が正しいと思わなかった時、途中で言い返すのではなく、まずは全て聞き入れましょう。
かなり大変ですが、先輩一人一人のやり方を把握し、その先輩に合わせて動くことは非常に大切です。
たくさんの先輩のやり方を学んで、一人立ちをしたときに自分に合った方法を見つけることができれば良いです。
③あいまいな返事はしない。できないことは「できない」とはっきり伝える
働くうえで、わからないこと、迷うことがたくさんあると思います。先輩に「これできる?」と聞かれた時、一度はやったことあるけど、ひとりで完璧にできる自信がなかったりするとあいまいな返事になってしまうことがあります。
例えば、初めて点滴をつなぐ時、このような場面がよくあります。

点滴、繋いだことある?できるなら一人で行ってきて。

あ、あります!
(だけど自信がないな。一度見学して手順もメモしてるけど、見ながら時間をかけないとできない。忙しいからついてきてもらうのは申し訳ないかな)
やったことはあるけど自信がなく、あいまいな返事をしてしまい、先輩をイライラさせてしまうような場面です。
私も新人を指導する立場になって気づいたのですが、毎日新人と仕事をしているわけではないので、本当にどこまでできるのかわからず仕事を頼んでいいのがわかりません。ミスがあれば被害を受けるのは患者さんなので、先輩には責任を持って一人立ちさせる義務があります。
私も、これはやったことがあるけど、一人でできるかはわからない。といった事が何度もありました。
新人の分も責任を持って働いている先輩は、あいまいな返事をされるとどう指導した良いかわからず、イライラしてしまいます。
先輩から聞かれたら、必ず「ここまではできます」「やったことはあるけど不安です」とはっきり伝えることが大切です。
重大な医療事故につながる場合もあり、非常に危険です。
「できないと言うと先輩に怒られそう」と思うかもしれませんが、患者さんを一番に考えることが重要です。
まとめ
新人看護師は、必ずみんながこのような悩みを持っています。業務の忙しさや人間関係など要因は様々ですが、社会人としても、年上の人と良好な人間関係を築くコツになります。
先輩は、新人が成長するのをとても期待しています。必ず、認められる時が来ますので、あまり悩みすぎず、困った時は同僚や上司などに相談をしましょう。