定期健康診断結果が届く
健康診断結果の判定から保健師は受診勧奨を行っていきます。
異常なし、有所見(経度以上)、要精査、要治療、治療中の5段階で判定
産業医を企業が雇っている場合
経過観察・要精査・要治療などの判定、就業の可否の判断を依頼。
健診機関と産業医契約をしている場合
産業医の判定が終了した後に結果が届くので、産業医判定をもとに受診勧奨をする。
受診後も二次検査結果をもとに必要時産業医へ就業判定を行ってもらいます。
その状態で働かせて良いかどうかを判断してもらうこと。
就業制限の中には「就業禁止」「残業禁止」「運転禁止」など個人によって決められます。
従業員へ受診勧奨
産業医判定で要精査・要治療となった方に対して、従業員へ受診勧奨します。
本人が病院へ行き、受診時に主治医から記入してもらう用紙です。
結果は100%回収が理想です。
主治医からの結果を見て、継続したフォローが必要かを確認します。
偽装していないか注意!
受診勧奨を強くするあまり、従業員が自分で適当に記入して提出する場合もあります。必ず病院の印鑑や主治医印があるかを確認しましょう。

受診時の検査結果用紙や領収書を回収すると確実に確認できます。
従業員が受診しない時の対応方法
保健師が直接面談をする
従業員の所属営業所へ訪問し、直接面談をして受診勧奨をします。(オンラインで対応する場合もあります)対象者の受診に対する思いを傾聴し、受診へ繋げることが重要です。
従業員の直属の上司や管理職へ依頼
保健師が何度も受診勧奨しても受診しない場合は、管理職へ相談します。組織形態によって異なりますが、基本的に所属課の課長へ伝えます。
個人情報を取り扱うため、むやみに情報を共有するのではなく必要最低限に留めること。
例)「再検査になっているので受診させてください」など
産業医面談を依頼する
所属長へ受診勧奨依頼をしても、理解がなければ強く勧めてくれません。なかには業務が忙しく、そこまで面倒をみきれないという管理職もいます。
そのような時は、産業医へ相談し産業医面談で受診勧奨をしてもらいます。

保健師ではなく産業医に言われると危機感を感じて受診してくれる人は多いです。
二次検査結果が届いた後の対応方法
二次検査結果は必ず確認をし、治療がきちんとできているかまでフォローします。随時記録に残しておきましょう。
異常なしの場合
結果を本人台帳へ入力します。
・受診日
・病院名、主治医
・診断名
・治療の有無
・就業の可否
経過観察の場合
経過観察の場合は、必要時保健師面談を実施します。健診結果は大きく逸脱していなくても、肥満者や基礎疾患がある人は注意する必要があります。
本当に治療が不要かを判断すること
病院を受診したとはいえ、クリニックでも適切な判断がされずヤブ医者のようなところもあります。また、従業員が適切な病院を受けていない場合もあるため注意が必要です。
例)高血圧で整形外科や皮膚科を受診している場合など
要治療の場合
要治療の場合は従業員がきちんと通院できているかをフォローする必要があります。生活習慣病は自覚症状がなく重症化するケースがほとんどであり、症状がないからと通院中断する人は多いです。
また定期通院ができていても改善しないケースもあります。そのような方は保健師面談を実施してフォローします。
保健師面談の実施
健診結果で気になった人や要治療である人に対して定期的なフォローを実施します。
保健師面談対象者の選定基準
選定基準は基本的に保健師判断ですが、下記表を参考にしてください。業種によっては早めに対応が必要な場合もあります。
血圧 | 160/100mmHg以上 |
HbA1c | 8.0%以上 |
AST/ALT | 100U/L以上 |
γ-GTP | 100U/L以上 |
TG | 150mg/dl以上 |
LDL-Cho | 140mg/dl以上 |
尿酸 | 8.0mg/dl以上 |
・通院先は適切か確認
・改善しない場合は専門病院を勧める
・生活習慣改善のフォローをする
産業医面談の実施
産業医面談をする目的は今の健康状態で就業させて良いか判断してもらうこと、治療が上手くいっていない人のフォローをしてもらうことです。
産業面談対象者の選定基準
・二次検査未受診者
・高度肥満(BMI35以上)
・治療中で改善のない者(高血圧、糖尿病、肝機能異常など)
・本当にヤバい数値で就業させると労働災害のリスクが伴う場合
【本当にヤバい数値】※参考程度に
血圧 | 180/110mmHg以上 |
HbA1c | 9.5%以上 |
AST/ALT | 300U/L以上 |
γ-GTP | 300U/L以上 |
TG | 500mg/dl以上 |
LDL-Cho | 250mg/dl以上 |
尿酸 | 10.0mg/dl以上 |
定期健康診断結果の事後措置まとめ
- 健診結果が届いたら産業医判定をもとに受診勧奨
- 対象者が受診しない場合は、所属課長へ受診勧奨依頼・保健師や産業医面談で対応
- 二次検査結果が届いたら適切な治療ができているか確認
- 未受診者、就業中に労働災害が起こるリスクのある人は産業医面談実施
- 治療しても改善のない場合は産業医へ相談