特定保健指導には、積極的支援と動機付け支援の2種類あります。
特に動機づけ支援は、毎回同じ指導になっていませんか?
保健師が介入できるのは、動機付け支援は初回面談・終了面談の2回のみとなっています。
とりあえず指導してみてはいるけど、計画を立てたのに全く実行していない、あまり意味がなかったなと後悔したことはありませんか?
本記事では以下の内容を解説しています。
・積極的支援と動機づけ支援の違い
・動機づけ保健指導の方法
・動機づけ支援向けの計画【具体例あり】
保健指導について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
動機付け支援と積極的支援の違い
動機付け支援では、ポイント制度はなく初回面談と最終評価のための確認のみです。
動機付け支援相当も動機付け支援と同等の支援方法でOKです。
| 動機付け支援 | 積極的支援 |
|---|---|
| 初回面談 | 初回面談 |
| 中間支援 (面談・電話・メールなど) | |
| 【3か月後】 生活改善状況確認 (面談・電話・手紙・メールなど) | 【3ヶ月以上経過後】 生活改善状況確認 (面談・電話・手紙・メールなど) |
| ポイントなし | ポイントあり |
動機付け支援の目的
動機づけ支援時の介入目的は、対象者の具体的な行動への「やる気」を引き出すことです。
保健師が具体的な計画を立ててあげることではありません。本人主体で計画をサポートしましょう。
対象者のやる気が起こりやすいのは「これなら実行できそう」「これをやれば良くなりそう」と思えた時です。
面談で対象者の話を傾聴しながら、「楽しそう」「前から気になっていた」などといった発言も行動へのきっかけになります。
保健師は本人がどんな努力をしているのか、主体性を十分に尊重することが大切です。
動機付け支援における初回面談の心構え
動機づけ支援者の介入で大切なことは、以下の2つです。
・対象者のありのままを受け入れる
・生活改善を説得させない
本人が主体であることが重要で、初心者にもわかりやすく一つずつ解説していきます。
対象者のありのままを受け入れる
初回面談時に注意すべきポイントは、対象者を批判せずに、ありのまま受け入れましょう。
保健指導は指導者と対象者の信頼関係が大切です。
信頼関係を築くことができれば、「この人が言うならやってみよう」と思ってもらうことで行動に繋がることもあります。
・本人のこれまでの努力に注目をする
・気持ちは変化しやすいので、固定化してみないようにする
生活改善を説得させない
保健指導でよくありがちな「保健師側の正したい反射」は抑えてください。
保健師の意見を傳、無理に相手を変えようとしてしまうと、本人のやる気を喪失させてしまいます。
生活習慣を変えるのはあくまでも「本人」です。
「習慣を変えてみよう」という本人の気持ちが芽生えないと行動に繋がらないので、無理に正論を述べて説得させるのは効果的ではなく、時間の無駄です。
・できそうなこと、実行したら良さそうなことを一緒に探す
・保健師は自己選択ができるようにきっかけを提供する
面談で対象者との信頼関係を築くコツ
- 指導ではなくカウンセリングする気持ちで取り組む
- 五感を磨いて相手のメッセージを受け取る
- 相手への共感を長期的な視線で信頼関係を築く
指導ではなくカウンセリングする気持ちで取り組む
保健指導は「検査結果が悪かったから、痩せたほうがいい」といったスタイルになりやすいです。
まず「指導」という言葉自体が上から目線です。
習慣を変える指導とは、本人の主体性を引き出して自己決定を促すこと。指導というより、カウンセリングに近いです。
五感を磨いて相手のメッセージを受け取る
保健指導を実施する際、コミュニケーションで対人関係は決まります。
コミュニケーションには言語的だけでなく、非言語的コミュニケーションを上手く使って対象者の全体を捉えることが大切です。
【非言語的コミュニケーション】
表情、動作、姿勢、身振りなど
【準言語的な要素】
声の調子、話し方、強弱など
対象者の表情や声のトーンにも注目して対象者のメッセージを受け取りましょう。
相手への共感を長期的な視線で信頼関係を築く
まずは相手の話に耳を傾けましょう。相手が話している間に、表情や動作、声のトーンなどから気持ちを聴き取りましょう。
相手の発言を繰り返し、確認をすることで共感ができ、相手のために考えていることを伝えられると、信頼を得ることができやすくなります。
今のままでは良くない状態である人が、良い方向に変わることを手助けする方法です。
自分(対象者)が変化する事への動機を引き出すのに効果的な方法。
>>参考:医療スタッフのための 動機づけ面接法 逆引きMI学習帳対象者の全体像を短時間で把握するポイント
人は基本的にこれまでの習慣を変えることはストレスにもなります。
特定保健指導では、習慣を変えるのは本人であり、その人自身が習慣変容をどう思っているのかが決め手となります。
・やる気のある人、ない人、グレーゾーンの3段階に分ける
・「忙しい」は最大の言い訳。時間がなくてもできることを提案してみる
やる気のある人、ない人、グレーゾーンの3段階に振り分ける
対象者が今どの段階にいるのかを知るためには、健診結果をどう受け止めているか確認しましょう。

まずは、相手が「やる気なし」「グレーゾーン」「やる気あり」のどの段階にいるかを振り分けます。
一問一答のように細かく質問をして評価するよりも、面接時の表情や態度、健診結果の受け止め方でおおよその見当がつけられます。
- 「健診結果をご覧になっていかがでしたか?」
- 「今までご自分で工夫されたことや努力されていることはありますか?」
- 「今なにか心掛けていらっしゃることはありますか?」
これまでの努力や今心掛けていることを把握すると、改善しやすい計画を立てる時のヒントになります。

これらの質問をすると短時間でおおよその全体像が把握できます。
「忙しい」は最大の言い訳!疲労の対処法から入ること
「忙しいから無理」はよく使われる言い訳です。
残業時間、帰宅時間の追及ではなく、確認をしましょう。
多忙な時ほどちょっとした息抜きが疲労回復に有用であることや、短時間にできるストレッチ、通勤時間を活用した歩行など提案してみるのも良いです。
実行可能な目標を立てる面談方法
特定保健指導の初回面談は、対象者本人が実行可能な目標を立てることが重要です。
そのためには介入時に以下の3つを意識して面談を実施します。
・まずは健康に関心があることを評価する
・「何をしてどうなったのか」具体的に尋ねてみる
・目標は緩やかな減量であることを伝える
目標設定のポイントは以下を参考にしてください。
・過去の努力したことや本人の意向を確認する
・努力すれば70%達成可能なもの
・実行すれば効果が期待できるもの
・具体的で明確な行動
・継続できそうなもの
・具体的な例をいくつか提示して選択させる
「間食を減らす」というあいまいな表現ではなく、「ポテトチップスを週2から週3に減らす」といった具体的な数字を入れると行動しやすく、評価もしやすいです。
目標設定では、本人がこれまでに行ったことをヒントに考えてみると行動に繋がりやすいです。
まずは健康に関心があることを評価する
まずはこれまでに健康のために実施したことのある行動がないか、聞いてみましょう。
以前努力していたことがあれば、必ず賞賛しましょう。自分で行動をしたことがある人はもともと健康への関心を持っています。
専門職である保健師が評価をすることで、「自分は間違っていなかったんだ」と確信でき、自信に繋がります。
「何をしてどうなったのか」具体的に尋ねてみる
以前、健康予防行動をした時の状況を聞き出し、対象者にとってどのような行動が効果的であるかを探していきましょう。
・減量は成功したか?
・どれくらい減量できたか?
・どれくらいの期間続けられたか?
・予防行動を止めたきっかけは?
・減量を成功/失敗した理由は?
「何がリバウンドのきっかけだったか」を明確にすることで危険な状況を洗い出すことができます。
目標は緩やかな減量であることを伝える
半年間で初期体重、腹囲の5%減少という一般的な目標がありますが、比較的緩やかで無理のない生活習慣の改善で達成できる場合が多いことを伝えましょう。
そして、減量が無理であれば「今より太らない」ように現状維持するだけでも、何もせず太り続けるよりずっと良いことであることを理解してもらいましょう。
- 挑戦するだけでも効果が期待できると説明する。
- 以前の経験から失敗しやすい状況をピックアップして解決方法を一緒に考える
- 過剰な期待を抱いていないか確認をする
- 生活改善による緩やかな減量の重要性を強調する
【まとめ】動機づけ支援者の指導ポイント
特定保健指導の動機付け支援の保健指導方法ポイントについてまとめました。
動機付けは、対象者自身が自己で継続できることが重要です。具体的な行動目標を決め、改善できるよう周囲の環境を整えるのも大切になります。

