転職が当たり前の時代になった今でも、「また数ヶ月で辞めてしまった」「気づけば短期離職を繰り返している」と悩んでいませんか?
看護師は求人が豊富で、いつでもどこでも働ける分、転職のハードルが低く、結果として短期離職を繰り返しやすい環境にあります。
しかし、短期離職を繰り返してしまうと、30代以降は「すぐに辞めるのではないか」と判断され、好条件の求人で不採用になりやすくなったり、勤続年数が評価されず給料が上がりにくくなったりする傾向があります。
・できれば長く働きたいのに、仕事が続かない
・頑張りたい気持ちはあるのに、辛くて辞めてしまう
そんな方に向けて、看護師の転職を一発で成功させるための考え方とロードマップをお伝えします。
結論から言うと、どれだけ短期離職を繰り返している方でも、正しい順序で準備をして転職活動に取り組めば、長く働ける職場に出会う可能性は十分にあります。
「自分の場合は無理だと思う」という方も、まずは最後まで読んで、一度だけでも実践してみてください。
そもそも「短期離職」とは?何年・何回からが目安か
「短期離職」には法律上の明確な定義はありませんが、一般的には入職から概ね1年未満で退職することを指す場合が多く、転職市場では「1年未満の離職が複数回ある」状態を「短期離職を繰り返している」と見なす傾向があります。
採用担当者が警戒しやすいのは、以下のようなケースです。
- 直近の職歴で1年未満の退職が2回以上続いている
- 同じような理由(人間関係、業務内容のミスマッチなど)で繰り返し退職している
- 退職理由を聞かれた際に、具体的な説明や今後の対策が語れない
一方で、結婚・妊娠・出産・転居・配偶者の転勤・介護といったライフイベントによる退職は、採用側からも「やむを得ない事情」として比較的理解されやすい退職理由です。
短期離職そのものが即不利になるわけではなく、「理由」と「説明の仕方」、そして「同じパターンを繰り返していないか」が重視されると考えておくとよいでしょう。
看護師はなぜ短期離職を繰り返してしまうのか?
看護師が短期離職をしやすいのには、職種特有の構造的な理由があります。
- 全国に求人が常に大量にある
- 面接を受ければ採用される可能性が高い
- 単発バイトや派遣でも、いつでもどこでも働ける
どの地域も人手不足の傾向が続いており、「頑張らなくても転職ができる」状態になりやすいのが看護師という職業の特徴です。
転職エージェントに勧められて面接を受けただけなのに、その場で内定が決まり、深く考える前に入職してしまうということも珍しくありません。
このように「自分の軸」を持たずに転職を決めてしまうと、失敗する確率が上がります。
短期離職を繰り返すことで年収が上がりにくくなったり、人気のある好条件求人で不採用となる可能性が高くなったりするため、今後のキャリアプランを立てて進みましょう。
データで見る看護師の退職理由
厚生労働省がまとめた看護職の退職理由データ(日本看護協会中央ナースセンターの登録データに基づく分析)によると、全年代を通じて多い退職理由の上位は以下のとおりです。
| 順位 | 退職理由 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 結婚 | 11.6% |
| 2位 | 子育て | 10.5% |
| 3位 | 転居 | 9.1% |
| 4位 | 妊娠・出産 | 8.8% |
| 5位 | 自分の健康(主に身体的理由) | 7.4% |
| 6位 | 看護職の他の職場への興味 | 7.2% |
| 7位 | 親族の健康・介護 | 6.7% |
出典:厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」
年代別に見ると傾向の違いも見えてきます。
20代では「看護職の他の職場への興味」や「自分の健康(主に精神的理由)」「夜勤の負担が大きい」が上位に入りやすく、30代・40代では「結婚」「妊娠・出産」「子育て」が中心、50代では「親族の健康・介護」や「自分の健康(主に身体的理由)」が目立つようになります。
つまり、看護師の退職理由はライフステージと密接に関わっており、必ずしも「本人の問題」だけが原因とは限りません。
一方で、20代に多い「他の職場への興味」「精神的な負担」は、入職前の自己分析やミスマッチの見極めによって減らせる可能性がある理由でもあります。
また、日本看護協会が毎年実施している「病院看護実態調査」では、正規雇用看護職員の離職率は11%台で推移しており、看護職全体としても一定数の離職・転職が発生し続けていることがわかります。

「自分だけが続けられない」と思い込みすぎず、まずは自分の退職理由を客観的に整理することが第一歩になります!
短期離職を繰り返すとどうなる?転職活動への具体的な影響
短期離職を繰り返すことは、感覚的に「なんとなく不利そう」という話で終わらせず、具体的に何が起こりやすいのかを理解しておくことが大切です。
1. 選考で不利になりやすい
転職回数が多く、かつ勤続期間が短いと、採用担当者から「またすぐに辞めてしまうのではないか」という懸念を持たれやすくなります。
とくに人気の高い好条件求人や教育体制が整った病院では、長く働ける人材を優先したい傾向があるため、書類選考や面接で不採用となる可能性が高くなります。
2. 年収が上がりにくくなる
看護師の給与体系は、勤続年数や経験年数に応じて昇給する仕組みになっている病院が多くあります。
短期離職を繰り返すと、その都度給与テーブルがリセットされ、勤続年数による昇給のメリットを受けにくくなります。
結果として、長く同じ職場で働いた場合と比べて、年収が伸びにくくなる傾向があります。
3. 看護スキル・専門性が積みにくくなる
一つの分野で一定期間の実務経験を積むことは、看護師としての専門性を高めるうえで重要です。
短期間で異なる分野を転々としてしまうと、スキルの習得が中途半端なまま終わってしまい、「即戦力」として評価されにくくなる可能性があります。
4. 「やりたい看護」が分からなくなっていく
短期離職を繰り返す看護師の中には、何を求めて転職しているのか自分でも分からなくなってしまう人もいます。
この状態が続くと、求人を見るたびに「とりあえず」で選んでしまい、同じ失敗を繰り返す悪循環に陥りやすくなります。
これらのリスクを正しく理解した上で、次の章で紹介するロードマップに沿って準備を進めていきましょう。
短期離職を繰り返さない!看護師の転職を一発で成功させるロードマップ
まずは以下の3つのステップで転職活動を始めましょう。
何がダメだったのか、どうすれば長く働けるのか。これまで退職してきた職場すべてを振り返り、問題となっていたことを明確にします。
自分の得意・不得意、好き・嫌いなどの特性を理解することで、自分に合う職場がどんなところかを明確にします。
転職サイトなどを通じて、自分に合う求人を探し、エントリーします。
【STEP1】これまでの退職理由を分析する
退職理由は人それぞれで、意外と個性が出る部分です。同じ失敗を繰り返さないために、退職した理由を具体的に分析しましょう。
「看護師が向いていないのか」それとも「その職場が向いていないのか」を区別することも大切です。
- 【環境】多忙、残業が多い、通勤が大変
- 【仕事】業務内容がつまらない、やりたいことではない
- 【人間関係】いじめ、パワハラ・セクハラ
人間関係を理由に退職する場合、「この人が気に食わない」という感情だけで安易に判断するのは危険です。
どの職場にも、自分と相性の悪い人や気に食わない人は一定数存在します。
退職を考える際は、明らかなパワハラ・セクハラ・いじめに該当するかどうかを基準にすることが重要です。
【STEP2】自分の特性(強み・弱み)を分析する
次に、自分がどんな人間であるかを自己分析しましょう。看護師は自己分析が不十分なまま転職してしまう人が多く、結果として転職を繰り返すことにつながっています。
求人を見る前に、自分の軸を決めることを最優先にしてください。短期離職を繰り返す人は、「入職してみて思っていたのと違った」「やりがいがない」と感じて辞めるケースが多く見られます。

長く働ける職場の特徴は、「自分のやりたいことができる」「成長できる職場」です。
先に求人を見てしまうと、自分のやりたいことが分からないまま、軸を持たずにフラフラと求人を探すことになってしまいます。
その結果、「給料が良いから」「自宅から近いから」という条件だけで選び、誤った選択をしてしまうケースが多く見受けられます。
- のんびり or テキパキ
- 変化あり or 変化なし
- ルーティン作業が好き or 苦手
- 一人が好き or みんなで協力するのが好き
- リーダーシップ or メンバーシップ
これが分かるだけでも、自分に合う職場、つまり自分が無理なく働ける職場を見つける大きなヒントになります。
たとえば、先ほどのチェックリストから、以下のような職場との相性が予想できます。
- 急性期:テキパキ動き、変化のある環境にやりがいを感じるタイプ(テキパキ・変化あり・ルーティン作業が苦手・みんなで協力する)
- 慢性期:ルーティン作業が好きで、落ち着いた環境で本領を発揮できるタイプ(のんびり・変化なし・ルーティン作業が好き・みんなで協力する)
- 企業・独立:個人での作業が得意で、自分で計画を立てて動くのが好きなタイプ(テキパキ・一人が好き・リーダーシップ・計画的に動ける)
すべてが完璧に当てはまる人は少ないので、どの要素が多く当てはまるかを見ながら、自分に合う選択肢を探る参考にしてください。
【STEP3】自分に適した求人を探す
ここまで退職分析・自己分析を行った人は、すでに自分の軸(どんな分野で働きたいか、どんなことを学びたいか、どんな成長をしたいか)が見えてきているはずです。
求人の有無は一度置いておき、自分が働きたいと思う職場環境を必ず「言語化」しましょう。

紙に書き出す、文字にすることで、頭の中で考えているよりも目指す方向が明確になります。
理想の求人とぴったり一致することは少ないですが、ここまで準備ができていれば、妥協できるポイントや優先すべき条件も見えてくるはずです。
面接で短期離職をどう説明する?OK例・NG例
短期離職の経験があっても、面接での伝え方次第で印象は大きく変わります。
重要なのは、退職理由を他責にせず、そこから何を学び、次にどう活かそうとしているかを伝えることです。
NGな伝え方の例
- 「人間関係が最悪だったので辞めました」(職場や他人への批判で終わっている)
- 「上司が厳しすぎて続けられませんでした」(改善のための行動が語られていない)
- 「なんとなく合わない気がして辞めました」(理由が曖昧で、今後の対策が見えない)
これらは事実であっても、面接の場で伝える際は「他責」「改善努力なし」「曖昧」という印象を与えやすく、評価を下げてしまう可能性があります。
OKな伝え方の例
- 「急性期での経験を通じて、自分はじっくり患者さんと関わる看護に強くやりがいを感じることに気づきました。その学びを踏まえ、今回は慢性期・療養型の病院を中心に考えています」
- 「結婚・転居が続き、やむを得ず短い期間での退職が重なりましたが、各職場で〇〇のスキルを身につけることができました。今後は腰を据えて長く貢献したいと考えています」
- 「自己分析の結果、自分には変化の少ない落ち着いた環境が合っていると分かりました。そのため、今回は職場見学や情報収集を重ね、慎重に求人を選んでいます」
ポイントは次の3つです。
1.退職理由を他責にしない
2.退職に至るまで、または退職後にどのような改善行動を取ったかを伝える
3.今後どのように働きたいか、明確なビジョンを示す
この3点を意識して準備し、面接に臨むことで、短期離職があっても前向きな評価を得られる可能性が高くなります。
それでは、早速求人を探していきましょう。転職サイトはこちらで比較しています。ぜひご活用ください。

これは絶対にやっちゃダメ!短期離職を繰り返す人の失敗例
短期離職を繰り返す人の特徴や、よくある失敗例をお伝えします。
転職活動は面倒に感じるものですが、ここまで紹介したロードマップを省略してしまうと、将来も同じ悩みを繰り返すことになるので注意しましょう。
今出ている求人を見て、なんとなく条件で選ぶ
ロードマップでは、①退職理由を分析する、②自己分析をする、③求人を探す、という3ステップを紹介しましたが、この順番が重要です。
看護師の転職でやりがちなのが、求人を先に見てしまうことです。
求人票を見比べて、条件だけで選ぶのは危険です。
つまらなさを感じたり、やりがいを見出せなかったり、人間関係に悩んだりすることが原因で、また短期離職をしてしまう未来が見えています。
お金を稼ぐこと以外の目的がない
「どこでもいい」「なんでもいい」という考え方は、転職においてリスクの高い進め方です。
何かひとつうまくいかないことがあったときに、誰かのせいにしてしまい、踏ん張って頑張ることができなくなってしまいます。
生活のために稼ぐことも大切ですが、その中に自分のやりたいことが含まれているかどうかも、忘れずに確認してください。
そもそも自分に合っていない
自分のことが理解できていないと、そもそも自分に合っていない求人にエントリーしてしまうことがあります。
「友人が楽しそうだから」「楽だと聞いたから」という友人の言葉や口コミだけで応募するのは危険です。
その人に合っていても、自分には合わないということはよくあります。必ず自分の軸を持つことを忘れないでください。
転職をすべてエージェントに頼りすぎている
エージェントは、求人を求職者に紹介するのが主な仕事です。希望条件にできるだけ沿った求人を紹介してくれますが、必ずしも「あなたに合う職場」を見つけてくれるわけではありません。
一度の面談だけで、あなたの性格や得意・不得意のすべてを把握することは難しいものです。
自分の特性は自分が一番理解できるはずなので、エージェントに頼りすぎず、自分自身で自分の軸を決めることを大切にしてください。
自分の軸ができたうえでエージェントを上手に活用すると、これまで手が届かなかった好条件求人や理想の職場から内定をもらえる可能性が高くなります。
よくある質問(FAQ)
まとめ|短期離職を繰り返さないための看護師転職ロードマップ
ここまで、短期離職を繰り返さず、一回で転職を成功させるための考え方をお伝えしてきました。
求人がたくさんある中で、ここまで手をかけて準備をするのは面倒に感じるかもしれません。しかし、転職は今後のキャリアや働き方を大きく左右する重要な転換点です。
準備を怠って短期離職を繰り返してしまうと、心身に負担がかかったり、年収やキャリア形成に影響が出たりする可能性があります。
反対に、しっかり準備をして転職に成功すれば、仕事にやりがいを感じながら、満足度の高い日々を送れる可能性が高まります。
転職を考えている方は、ぜひこの機会に退職分析・自己分析から始めてみてください。
1.これまでの退職理由を分析する
2.自分の特性を分析する
3.分析した内容をもとに、自分に合った求人を探す

出典
- 厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」(第2回看護師等確保基本指針検討部会 参考資料、令和5年7月7日)
- 日本看護協会「病院看護実態調査」各年版

