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保健師のスキルアップに必須の思考力5つ|現場で鍛える方法を解説

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保健師は、決められた手順をこなすだけの仕事ではありません。

対象者一人ひとりの状況は異なり、教科書通りに進むケースはほとんどないため、その場で考え、判断し、最適な方法を選び取る「思考力」が常に求められます。

看護師とは異なるタイプの頭の使い方が必要になるため、「考えるのが苦手」「いつも同じパターンの保健指導しかできない」と感じている方は、業務がしんどくなりやすい傾向があります。

一人で悩みを抱え込み、業務負荷からメンタル面の不調につながってしまうケースも少なくありません。

筆者自身、大学病院の看護師から産業保健師に転職した経験があり、看護師時代とは全く違う頭の使い方を求められて苦労しました。

本記事では、保健師のスキルアップに欠かせない5つの思考力を、現場でよくある場面とともに解説します。

今後のスキルアップに役立てたい方は、ぜひ最後まで読んで明日からの業務に活かしてください。

目次

保健師に「思考力」が求められる理由

厚生労働省が示す「保健師に求められる実践能力」でも、対象集団の課題を多角的・継続的に捉えて分析し、施策化していく能力が明確に挙げられています(出典:厚生労働省「保健師教育の技術項目と到達目標」)。

つまり思考力は、個人の感覚的なものではなく、保健師という専門職に公的に求められている能力なのです。

ここからは、その思考力を5つに分けて、現場での使い方と鍛え方を具体的に紹介します。

保健師のスキルアップに必要な5つの思考力(一覧表)

保健師のスキルアップに必要な5つの思考力
スキル一言でいうと現場での活用例
①アセスメント力情報を正確に集め、整理する力健診結果や生活背景から課題を見抜く
②論理的思考力筋道立てて考える力健康課題の原因分析、受診勧奨
③批判的思考力一歩立ち止まって疑う力虚偽報告の見極め、情報の精査
④創造的思考力自由な発想で解決策を考える力保健指導の手法をアップデートする
⑤応用力・柔軟な思考力状況に合わせて考え方を切り替える力多職種連携、個別対応

それぞれ、どのような場面で必要になるのか詳しく見ていきましょう。

①アセスメント力(情報収集・分析力)

保健師に必要なアセスメント力(情報収集・分析力)

アセスメント力とは、対象者やデータから必要な情報を正確に集め、何が課題なのかを見極める力のことです。他の思考力の土台となる、最初のステップにあたります。

現場で使う場面

・健診結果・問診票・生活習慣の情報から、本当のリスク要因を見抜く
・表面的な訴え(「ただ忙しいだけ」など)の裏にある背景を読み取る

ここで情報収集が不十分だと、この後で紹介する論理的思考力や批判的思考力がどれだけ優れていても、的外れな保健指導になってしまいます。

鍛え方

・「なぜこの情報が必要か」を意識して問診・面談を行う
・集めた情報をS(主観的情報)/O(客観的情報)に分けて整理する習慣をつける
・記録を書くときに「事実」と「自分の解釈」を分けて書く

アセスメントは看護師と同様です。臨床経験で身についたスキルが保健師の現場でも大活躍します。

②論理的思考力(ロジカルシンキング)

論理的思考力(ロジカルシンキング)とは、物事を論理的に整理し、筋道を立てて考える思考法のことです。簡単に言えば、「話や考えに矛盾がなく、誰が聞いても納得できるように考えること」を指します。

論理的思考力(ロジカルシンキング)ができると、以下のようなメリットがあります。

  1. 説得力が増す:仕事や対象者との会話で納得してもらいやすくなる
  2. 問題解決がスムーズになる:原因を明確にし、適切な対策を考えられる
  3. 判断がぶれにくくなる:感情や思い込みに左右されず、本質的な判断ができる

この3つは、対象者との信頼関係を保ち、専門職としての役割を果たすうえで重要な要素です。

現場で使う場面

・健康課題の原因を分析し、適切な対策を立てる
・データや科学的根拠をもとに判断し、効果的な健康指導を行う

特に健康診断の事後措置(受診勧奨・治療フォロー)の場面では、原因を追求し、根拠づけて説明する力が欠かせません。

保健指導では、原因を追求し、根拠づけていくことが重要です

鍛え方

結論から話す(「結論→理由→具体例」の順で伝える)
感情ではなく、データや事実をもとに考える
モレ・ダブりのない視点で情報を整理する

書籍で体系的に学びたい方は、「イシューからはじめよ」のようなロジカルシンキングの定番書から入ると理解が早まります。

③批判的思考力(クリティカルシンキング)

批判的思考力(クリティカルシンキング)とは、物事をただ鵜呑みにせず、疑いながら考える力のことです。「本当にそれで正しいの?」「別の見方はない?」と一歩立ち止まって考える習慣を指します。

ロジカルシンキングが「筋道を立てて考える」のに対し、クリティカルシンキングは「その考えが本当に妥当か」をチェックする思考法です。

ロジカルに組み立てた考えに対して、「その前提、大丈夫?」と検証するイメージです。

現場で使う場面

・二次検査を実際に病院で受けたか、自己申告のままになっていないかを確認する
・治療方針が本当に適切か、経過観察で良いのかを見極める
・流行の健康情報を鵜呑みにせず、正確性を確認する

保健指導の場面では、対象者が「怒られたくない」という心理から、実態と異なる報告をすることが少なくありません。

発言や行動をそのまま受け取らず、本当に信頼できる情報かを判断する視点が必要です。

虚偽報告は珍しくありません。きちんと見極めていきましょう。

鍛え方

「なぜ?」と問いかける習慣をつける
反対意見や他の視点も考えてみる
・感情ではなく事実・データで判断する
情報源の信頼性を確認する

クリティカルシンキングは「疑う力」ですが、目的は反論することではなく「より良い判断」をすることです。

①②のスキルと組み合わせることで効果が高まります。

④創造的思考力(クリエイティブシンキング)

創造的思考力(クリエイティブシンキング)とは、自由な発想で新しいアイデアや解決策を考える力のことです。「もっと良いやり方はないか」という発想の柔軟さを指します。

クリエイティブシンキングのポイントは、以下の3つです。

  1. 自由な発想:「正解」にこだわらず、複数の可能性を探る
  2. 常識にとらわれない:普段のルールを一旦外して考える
  3. 新しい価値を生む:問題の新しい見方やアイデアを生み出す

現場で使う場面

・対象者が楽しく健康づくりに取り組めるよう、新しい働きかけを考える
・伝統的な手法だけでなく、SNSやデジタルツールなど新しい手段を取り入れる

新しい発想が、保健指導に良い効果をもたらします。

①〜③で「論理的に考え→疑いながら検証する」プロセスを経たうえで、④の「自由に発想する」を組み合わせるのが、保健師の現場における理想的な思考フローです。

鍛え方

「こうあるべき」を一度忘れる
・とにかくたくさんアイデアを出す(質より量)
「こんなのアリ?」を大事にする
他分野のアイデアを組み合わせる(例:保健指導 × 心理学 → 心理学的アプローチ)

保健指導は医療知識だけでは不十分な場面が多く、心理学的なアプローチを組み合わせることで、対象者が話しやすい雰囲気をつくったり、納得感のある指導につなげたりすることができます。

発想力を広げたい方には「仕掛学」のような行動デザインの本も参考になります。

クリエイティブシンキングが身につくと「正解がない問題」に強くなるため、新しいアイデア出しや企画、広報物の作成などでも力を発揮します。

⑤応用力・柔軟な思考力

保健師に必要な応応力・柔軟な思考力

柔軟な思考力とは、1つの考え方にとらわれず、いろいろな角度から物事を考える力です。「こうじゃなきゃダメ」という思い込みを外し、「別のやり方はないか」と考えられることを指します。

例えば、対象者を支えるチームメンバーの意見が食い違ったときに、どちらか一方を選ぶのではなく両方の案を組み合わせる発想に切り替えることが、応用力・柔軟な思考力にあたります。

現場で使う場面

・健康課題は個々の環境や背景によって異なるため、相手に合わせて対応を変える
・他職種と連携し、異なる視点を取り入れながらベストな解決策を見つける

教科書通りに進むことはまずありません。いくつもの改善策を考え、実施することで保健師の役割が果たせます。

鍛え方

応用力を鍛える
・「これ、他にも使えるかも?」と考える癖をつける
・1つのスキルを複数の場面で使ってみる(例:プレゼン力→会議・面談・研修など)

柔軟な思考力を鍛える
・「他の方法は?」「逆の立場なら?」と自分に問いかける
・正解を1つに決めつけない
・違う考えを持つ人と話してみる

応用力は「使いこなす力」、柔軟な思考力は「考え方を切り替える力」です。

どちらも、変化の多い保健師の現場で欠かせないスキルです。

保健師の思考力をキャリアアップにつなげるには

5つの思考力は、目の前の保健指導だけでなく、将来的なキャリアアップにも直結します。

厚生労働省の検討会報告書でも、経験年数が上がるにつれて、より高度な分析力・施策化能力・管理能力が段階的に求められることが示されています。(出典:厚生労働省「保健師に係る研修のあり方等に関する検討会 最終とりまとめ」)。

つまり、新任期のうちからアセスメント力や論理的思考力を意識して鍛えておくことが、将来、統括保健師や管理職保健師としてのキャリアアップを目指す土台になります。

産業保健師としてのキャリアに関心がある方は、こちらの記事も参考にしてください。

未経験でも産業保健師になれた【9カ月間の転職経験談&辛い時の対処法】
産業保健師に有利な資格5選|未経験でも書類選考を突破する方法【経験談】

よくある質問(FAQ)

保健師にとって思考力が必要なのはなぜですか?

保健師の仕事は対象者ごとに状況が異なり、決まった手順だけでは対応できない場面が多いためです。厚生労働省の実践能力の枠組みでも、分析力や施策化能力が公的に求められています。

新人保健師でも思考力は鍛えられますか?

はい。思考力は経験年数よりも「日々の意識の積み重ね」で伸びるスキルです。まずは本記事で紹介した鍛え方を1つずつ意識することから始めてみてください。

思考力を鍛えるのにおすすめの本はありますか?

ロジカルシンキングなら「イシューからはじめよ」、発想力なら「仕掛学」など、ビジネス書として書かれたものでも保健師の現場に応用できる内容が多くあります。

思考力とスキルアップ・キャリアアップはどう関係していますか?

アセスメント力や分析力は、統括保健師など管理的な立場に進む際にも評価される能力です。日々の保健指導の中で意識的に鍛えることが、将来のキャリア形成にもつながります。

まとめ|保健師のスキルアップに必要な5つの思考力

保健師は「決められたことをやる」のではなく、「状況に応じて最善の方法を考え、実行する」ことが求められる専門職です。

【保健師に必要な5つの思考力】

  1. アセスメント力(情報収集・分析力)
  2. 論理的思考力(ロジカルシンキング)
  3. 批判的思考力(クリティカルシンキング)
  4. 創造的思考力(クリエイティブシンキング)
  5. 応用力・柔軟な思考力

参加できる研修が少ない、どのように勉強すればいいか分からないという方は、まずはこの5つの思考力を意識することから始めてみてください。

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