看護師と保健師の業務は似ているようで全く異なります。
過酷な現場から逃れたいと行政保健師へ転職する人もいますが、実際に勤務してみると意外と過酷で、看護師とは違った大変さがあり後悔する人も多いです。
公務員試験の勉強を頑張って、倍率の高い保健師の内定をもらったのに、「思っていたのと違った」「こんな仕事、続けられるかな」という不安に襲われる人も多いです。
実際の現場では、行政保健師もメンタルで休職する人は多く、ラクな仕事ではありません。
看護師から行政保健師に転職して後悔すること5つを紹介します。今後、行政保健師へ転職を検討している方はぜひ参考にして今後のキャリアプランに役立ててください。
看護師から行政保健師に転職して後悔する瞬間5選
看護師から行政保健師へ転職する際に後悔する瞬間は、主に以下の5つがあります。
・上司への報告、連絡、相談が必須で逐一報告
・精神保健、虐待分野は超大変
・残業が多すぎて土日出勤はザラ
・初任給が低い
・真面目な人が多く、プライベートに関与しない
※自治体によって異なる可能性があります。
上司への報告・連絡・相談は必須で逐一報告
看護師も報告・連絡・相談はこまめに行いますが、スケジュールや行動は自分で計画を立てて行動するのが一般的。自己判断で対応することもあります。
しかし、行政保健師は細かいことも含めて、何をするにも全て上司への報告が必要です。相談を受けた内容や対応状況、外出時や1日のスケジュール等全て逐一報告が必要な自治体が多いです。
良く言えば、全て相談することで上司の判断の上で行動するため責任は軽くなります。
一方で悪く言えば、全て管理されていて自由に動けない、自己判断で行動できないことが苦しく感じる人もいます。

このギャップが大きく、臨床看護師から行政保健師へ転職した人は後悔することがあります。
急な呼び出しもある!?精神保健、虐待分野は超大変
行政保健師の中でも精神保健や虐待の担当になった場合は、シビアなケースを扱う上、他の業務と比にならないくらい大変です。
どちらも自殺や虐待死など命に直接関わる症例であり、判断を一つ間違えば大きな事件や事故につながりかねません。
看護師の場合は患者がすぐ近くにいるので対処できますが、保健師は自宅まで訪問したり、電話介入であったりとすぐに対処できないため、緊急時に労力がかかることが課題となっています。
また、一度介入して解決する問題がなく、対象者がその自治体にいる限りはほぼ一生支援が必要なため、永遠と続く支援に悩む人も多いです。
・対応方法の正解がない
・試行錯誤し、介入していく忍耐力や粘り強さが必要
・介入の終わりが見えない
・急に呼び出されて訪問する臨機応変な対応が必要
・やりがいを感じられる機会が少ない
・自分のメンタルも不安定になりがち

自分一人で抱えず、上司へ相談をしながら上手く対応をしていきましょう。
残業が多すぎて、土日出勤もザラにある
行政保健師は公務員だから定時で帰れる、プライベートとの両立がしやすそう、というイメージがありますが、保健師に関しては残業が非常に多いです。
夜21時まで残業したり、業務が終わらない時は土日出勤もザラです。残業する場合も上司への報告が必要です。
さらに、ほぼサービス残業なので給料が上がることはなく、「行政保健師が楽そう」という理由で転職した人は大きなギャップですぐに辞めてしまう人もいます。

残業がどれくらいあるのか、説明会や面接時などに確認をしておきましょう。
給料が高いと思いきや…初任給が低い
行政保健師は公務員のため給与が安定しているイメージがあると思います。
確かに、行政保健師は病院や企業のように職場が潰れて仕事を失う可能性は低く安定しています。
給料面でも勤続年数によって上がり、退職金が多いなど老後の生活は安心できます。
しかし、初任給は一般平均と同じくらいで病院看護師から転職すると毎月の給料はかなり低く感じます。

生活レベルを少し落とさないといけなくなってしまうので、転職前に経済的な計画を立てましょう。
真面目な人が多く、楽しくない
病院は同世代の看護師が多かったり、プライベートでも仲良く過ごしたりとワイワイ楽しいことも多いです。
しかし、行政保健師は公務員でもあり年齢が様々で、基本的に真面目で律儀な人が多いので仕事は集中し、終了したら帰宅する。プライベートの話や世間話はあまりせず、静かな雰囲気であることが多いです。
仕事のストレス発散として同僚で愚痴を言い合ったりすることも看護師界隈では多いですが、行政保健師の場合は自分でストレスを解消する人も多く、馴染めないという人もいます。
デスクワークが多いので、看護師の雰囲気の違いは大きいなギャップを感じると思います。

自分にとって上手なストレス解消法を見つけていきましょう。
看護師から行政保健師に転職して良かったと思うこと
行政保健師はラクな仕事ではなく、ネガティブな面はありますが、看護師から行政保健師へ転職して良かったと感じる部分もあります。
主に以下のようなメリットを感じます。子育てや長年勤務するとメリットを感じる部分は多いです。
・夜勤がないから子育てと両立しやすい
・地域密着だから顔が広くなる
・幅広い年齢層に関われる
・体力的にラク
夜勤がないから子育てと両立しやすい
行政保健師は基本的に土日休みのため、幼稚園や保育園のイベント(入学式、授業参観、運動会等)に参加しやすく、周りに気を遣わなくて良いのはメリットです。
希望休を取る際に、自分ばかり休んでしまう申し訳なさを感じますが、行政保健師はそもそもそのような状況になる事が少ないため負担が減りラクです。
地域に密着して関われるので顔が広くなり、楽しい
行政保健師は対象者の自宅を訪問することも多く、地域の人に密着して業務を行うため顔が広くなります。
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)で訪問した子どもが成長し、大人になった姿を見ることができたり、またその子が結婚して出産した際に訪問する機会もあり、長く勤めるほどやりがいを感じます。
日常生活でも普段介入している方とスーパーや地元のイベント等で出会うこともあり、人とのコミュニケーションを取ることが好きな人にとってはとても嬉しい出来事です。
市町村など地方になるほど密着度は高くなるため、様々な人と関わることができる楽しさは行政保健師ならではの楽しさです。
幅広い年齢層に関わることができる
母子保健、成人保健(生活習慣病予防など)と赤ちゃんから高齢者まで幅広く介入することができます。
また、地域担当制であれば対象者の家庭全体を理解した上で介入できるので、アセスメントに必要な情報がキャッチしやすく、解決策が生み出しやすいです。
一つひとつの健康課題が解決しやすくなるため、保健師としてのやりがいや喜びを感じる機会が多く楽しいと感じることもあります。
体力的にラク
行政保健師はデスクワークで体を動かすことが少ないため、病棟勤務の看護師と比較すると体力的にラクです。
病院看護師は移乗・入浴介助などの介護ケアも含まれていますが、行政保健師はそのような大きな負担がかかるような動作もないため体力的には比較的楽で40代、50代になっても働き続けやすい環境です。
また、夜勤がなく規則正しい生活が送れるため、心身ともに安定しやすいのも働きやすい環境が整っています。
行政保健師でよくある転職先
行政保健師が辛い、向いていない、辞めたいと思う人は、同じ保健師へ転職するのが一般的で看護師への転職は稀です。
看護師資格を持っていて働く場所はたくさんあるのに対し、「臨床経験がない」ということは大きな壁になっています。
・学校保健師
・産業保健師
・包括保健師
全体的にどれも保健師の求人は少ないので、転職活動は苦労します。しかし、業務理解や行政保健師の強みを活かす自己PRを上手にするなど転職のコツを掴めば、キャリアアップは可能です。
特に難しいとされる産業保健師の転職情報はこちらに掲載しているので、参考にしてください。

行政保健師になるための公務員試験対策
行政保健師は簡単になれるものではなく、公務員試験対策が必須です!
社会人になると数学などの一般問題は完全に忘れてしまっているため、必ず試験勉強が必要になります。
公務員だけでなくパートとして勤務する場合もあります。行政保健師になる方法をこれから紹介します。
公務員(フルタイム)を目指す場合
行政保健師になるためには、公務員試験対策が必須です!受験する地域や規模の大きさによって異なるため、試験日や試験内容は必ず確認しましょう。
一般教養試験や小論文が含まれているため、早めに勉強することをおすすめします。
具体的な試験対策はこちらの記事を参考にしてください。

派遣やパートとして勤務する場合
派遣やパートの場合は面接が行われます。随時、求人は出ているのでハローワークや転職サイト等でチェックしましょう。
包括保健師や学校保健師、産業保健師と迷っている場合は、全ての求人が閲覧できるサイト(ジョブメドレー)がおすすめです。
登録しておくと、スカウトメールが来ることもあり、忙しい方には便利です。ジョブメドレーの特徴や利用方法・口コミは以下の記事を参考にしてください。

看護師から行政保健師への転職で後悔する瞬間5選まとめ
看護師から行政保健師へ転職した時に感じるギャップや後悔することを紹介しました。
・上司へは逐一報告でしっかり管理されている。
・精神保健、虐待分野は緊急度が高く大変。
・残業が非常に多く、土日出勤もあり得る。
・看護師と比べて初任給が低い。
・真面目な人が多く、プライベートまで関わりがない。
反対に、行政保健師になって良かったと感じる場面もあります。メリット・デメリットをそれぞれ理解した上で、自分の性格や生活スタイルに合わせて転職を検討しましょう。
・夜勤がないため子育てと両立しやすい。
・地域に密着して関われるので顔が広くなり、楽しい。
・幅広い年齢層に関われる。
・体力的にラク。
今後保健師転職を考えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。