看護師の皆さんは、学生時代からマナーについて厳しく言われてきたと思います。また、入社してすぐにも接遇研修は必ず受けます。
・病院は接遇に厳しすぎる
・患者さんと信頼関係が築けない
・クレームや態度が悪い患者さんにイライラしてしまう
このような方に向けて、病院の接遇についてまとめ記事を作成しました。
患者さんと上手く関係が築けないのは、接遇が原因かもしれません。患者さんが治療に協力的でなく、なかなか業務が進まないこともあります。
そのような方へ、現役看護師が培ってきた接遇力を向上させるポイントをいくつかご紹介します。
接遇は安全に適切な医療を提供するため
患者さんに安全に、適切に医療を提供するためには、接遇は重要です。患者さんや同僚、その他医療スタッフとコミュニケーションを円滑にすることは医療事故を防ぐことに繋がります。
患者さんに安心して検査や治療を受けてもらうためにも、自分自身の接遇を見直してみましょう。
あの看護師さんはいつも丁寧に話を聞いてくれるから、なんでも相談できるね。
忙しくても絶対に対応してくれるしニコニコしてるから治療も頑張れるよ。
あの看護師さんはいつも忙しそうで声を掛けても対応してくれないのよね。
たくさん汗をかいてるから着替えたいのに、後回しにされちゃうから嫌だな。
このように、患者さんはよく看護師を見ていて、誰に相談をしたらきちんと対応してくれるかを考えて声をかけています。
対応が良い看護師・悪い看護師の患者さんに与える影響は以下のようなものが挙げられます。
接遇で注意したい5大要素
身だしなみ
身だしなみは一番重要です。患者さんに不快な思いを与えない、不安にさせないために清潔感のある看護師になりましょう。
以下のチェックポイントを参考にしてください。
髪 | 髪色7~8トーン 長い方はおだんごにまとめる 介助時に患者さんに髪が触れないようにする |
メイク | ナチュラルメイクがおすすめ すっぴんは不潔感が出るのでNG 派手すぎると入浴介助や普段の業務で汗をかくので崩れやすくなります |
爪 | 長さは短く、ネイルは禁止 爪が長く患者さんを傷つけるとインシデントになります 爪が長いと細菌が溜まりやすいので感染対策のためにも短くすること |
ナース服 | 白衣は常に清潔にしておく(基本的に毎日変える) ボールペンのインクがつきやすいので注意 |
あいさつ
挨拶は社会人の基本。知らない人と話す時は誰もが緊張したり、どんな人なんだろう?と少なからず不安は生じてきます。
病院を受診する患者さんは体調不良で来ていることが多く、さらに不安を助長させてしまいます。最初に自分から名乗ることで、患者さんに安心感を与え、心を開きやすくなります。
朝の巡回時は、必ずその日の受け持ち患者さんには挨拶をしましょう。
おはようございます。今日担当する〇〇です。よろしくお願いします。
受け持ち患者さんでなくても、訪室前後や廊下ですれ違う時は挨拶をすること。
こんにちは。今日の調子はいかがですか?調子良さそうですね。
入院歴が長かったり、定期的に受診に来る患者さんは既に覚えられている場合もあります。慣れてくると挨拶が適当になってしまったり、名乗らなくて良いと思う方が多いです。ですが、私は顔見知りの患者さんでも挨拶は大切です。
今日も〇〇が担当しますね。よろしくお願いします。
このように自然に伝えるようにしましょう。患者さんも看護師を受け入れやすく、良い看護を提供することができます。
表情・声の調子
コミュニケーションは、言語的・非言語的なものがあります。相手へ良い印象を持ってもらうには、表情などの非言語的コミュニケーションでほとんど決まります。
感染対策のためマスクをしていると表情がわかりにくいので、目元を意識して笑顔をつくることが大切です。
人はコミュニケーションをとるときに以下の割合で情報を受け取ります。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの「メラビアンの法則」より
言語=7%
聴覚=38%
視覚=55%
つまり、言語的コミュニケーションよりも非言語的コミュニケーションの方が影響力が強いです。
常に不安そうな表情をしていると、患者さんにも不安を与えてしまいます。わからない時や不安な時は先輩ナースに相談し、自信を持って行動しましょう。
態度
業務に追われ、忙しい時に声をかけられると疲れが出ることもあります。忙しい時でも嫌な態度をとらず、きちんと対応をすることが大切です。
今すぐにテーブルを片付けて!!
はーい。
(ナースコール押しすぎ…
こんな対応してる場合じゃないのに。)
余裕がないと返事が適当になってしまったり対応が適当になることがあります。看護師側に余裕がないと患者さんが気を遣って症状の訴えをせず、悪化し対応が手遅れになってしまうこともあります。
すみません、今、他の患者さんの対応中なので、あと10分ほど待っていただけますか?
ナースコールは即対応し、できない場合はどれくらい時間がかかるのか具体的に説明することで患者さんから理解を得ることができ、今後にプラスに働きます。
患者さんとの約束は守りましょう。もしすっぽかしてしまったらきちんと謝罪をすること。
言葉遣い
経験年数を重ねるほど患者さんにはタメ口になる看護師はかなり多いです。
患者さんは人生の先輩でもあることが多く、どこか偉そうな態度を取られると、不快です。患者さんひとりひとりを敬う気持ちで接するようにしましょう。
何度も入院していて顔見知りな患者さんにはフランクな対応でも良いですが、周囲から見て嫌な気持ちにさせてしまわない程度にすることが大切です。
【敬語で注意したいこと】
看護師がよく使う「~しておきますね」は「~してあげている」と捉えられます。
上から目線の言葉になるので、使わないように気をつけましょう。「~いたしますね」に直すと好印象です。
場面ごとに気を付けたい接遇
【問診時はオープンクエスチョンを使う】
まず受診に来る患者さんには、情報収集をします。情報を得ることは今後の看護方針を決めるにあたり必要ですが、面接のように質問攻めをしてしまうと患者さんも一歩引いてしまいます。一問一答にならないように、自然な会話の流れから情報を得るようにしましょう。
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを上手く活用することがポイント。
クローズドクエスチョンは一問一答のように淡々と進みがちになります。オープンクエスチョンを増やし、患者さんの一言から会話を深めるようにすると、患者さんも話しやすくなります。
また、問診時は個人情報を含むため行う場所などを考慮し、周囲にも気を配ると良いです。
【オープンクエスチョン】
「痛みはどうですか?」
「ご飯はどんなものを食べましたか?」
「治療が始まって、体調はいかがですか?」
【クローズドクエスチョン】
「痛みはありますか?いつから痛いですか?」
「ごはんは食べましたか?」
「体調良いですか?」
【処置中は細かい声掛けをする】
処置前は、必ず患者さんの承諾を得るようにしましょう。突然処置を始めたり、見えないところの処置を勝手にすると患者さんは不快に感じます。
「今から~をしても良いでしょうか。」「今から~をしますね。」など細かい声掛けや説明を丁寧にすることを心がけましょう。
処置中は患者さんの反応をひとつひとつ確認することで、すぐに異常に気付くことができ、対応できるので不安軽減になります。
処置後、何に気を付けるべきか、どこまでは通常通りの生活で良いか、詳しく説明をしましょう。
【ルールを守らない、アドヒアランスが悪い時】
院内ルールを守ってくれない患者さんに対しては「これはダメです。ルールなので。」など押し付けるのはNGです。かえってトラブルやクレームのもととなります。また、無理に説得をしようとすることで、患者さんは治療に対して非協力的になります。
対処方法としては、「ルールだから」ではなく、なぜダメなのか、患者さんが納得できる説明をしましょう。
また、態度が悪い患者さんには、相手の置かれている立場や心理状況を考え理解することで冷静に対応することができます。
《同じ検査を何度も受けていて説明はいらないと言われた時》
患者さんは体調が悪くストレスになっていたり、連日検査続きで疲れていたりします。はっきりと診断がついていない場合は、治療が進まずにイライラしていることも考えられます。
何度も検査を受けられているかと思いますが、事故防止や最終確認のために説明をさせていただけますでしょうか?
このように、具体的な説明と了承を得るような伝え方をするとすんなりを受け入れてもらいやすいです 。
まとめ
看護師の接遇は患者さんの安全で適切な医療と提供することに必要なものです。
①身だしなみ
②挨拶
③表情・声の調子
④態度
⑤言葉遣い
5つの要素を見直し、患者さんと上手くコミュニケーションをとることが重要です。