看護師の業務は、患者さんのスケジュールに合わせて行うため、複数の業務が一度に重なり、何から対応すべきか悩むことも多いですよね。
「どれから手をつけたらいいの?」
「対応が遅れてトラブルになったらどうしよう…」
そんな不安を感じるのは、決してあなただけではありません。実際、経験豊富なベテランナースでも優先順位に迷う場面はあります。
しかし、優先順位を誤ると、患者さんの状態が急変したり、最悪の場合、命に関わる事態に発展してしまうことも。だからこそ、正しい判断が求められるのです。
優先順位を決めるポイントは「緊急度」と「重症度」です。
マルチタスクが苦手でも、この2つの視点を押さえれば、優先順位をスムーズに決められるようになり、落ち着いて行動できるようになります。
本記事では、忙しくて混乱しがちな現場でも実践できる「優先順位の決め方」を詳しく解説。さらに、マルチタスクが苦手な人に向いている職場も紹介します。
看護業務の優先順位は緊急度・重症度で決める
優先順位を判断する材料はこの4つです。
①緊急度は高くないか
②患者さんにモニターはついているか
③時間指定の処置であるか
④他のスタッフに依頼できるものか
上記の4点について詳しく解説をします。
緊急度は高くないか

まずは、命にかかわるものは必ずすぐに駆け付けましょう。
急変時や転倒時は何が何でも第一優先!
・患者さんが急変した
・転倒した、もしくは転倒リスクがある
・点滴が漏れたなど患者さんに影響がある
・離床センターがついている
患者さんにモニターはついていないか

重症度の高い患者さんは24時間全身管理が必要なためモニターが付いています。
モニターが付いている=急変するリスクがある
この言葉を念頭に置き、ケアをしましょう。
モニター音が鳴っている時もですが、患者さんから何か訴えがあった時は見逃さず何かのサインではないか?と考える癖をつけておくと良いです。
意識するだけでも見えてくる小さな変化もあります。
時間指定の処置であるか

時間指定の処置は必ず守りましょう。
- 手術、検査の前処置
(遅れると手術・検査ができないこともあります) - 手術、検査後のバイタルサイン測定
(全身麻酔・局所麻酔は全身に影響を及ぼすため全身管理が必要) - 化学療法などの点滴投与

時間指定されているのはなぜでしょう?
それは、副作用により急変する可能性や麻酔の影響で呼吸循環動態が悪くなる可能性があるから。
薬剤投与などは夜間帯に遅れると、主治医がいない時間に副作用が出たり、急変したりします。主治医がいないと適切な対応ができない場合があり、さらに看護師の人数も少ないので十分な対応ができない可能性があります。
そのため、人が多い日中の時間帯に処置を行いたいものには、時間指定で指示が出ていることがあります。
【処置後のバイタルサインは必須】
急変が起こりやすく、バイタルが変動しやすい。麻酔で寝ているだけなのか?意識消失か?判断をするためにも必ず指示通り行いましょう。
他のスタッフに頼める仕事か

優先順位を決めようとしていても、必ずどちらもすぐに対応しなければならないという時があります。
体がもうひとつあればいいのに。
このように思った経験はありませんか?
本当に危機的状況であるときは、他スタッフに頼めるものか考えてみましょう。
- 患者さんのトイレ介助
- 点滴投与
- ケアの準備
- 検査出し(レントゲンなど簡単なもの)
チームで看護を行っている病棟は、他スタッフも患者さんのことをよく知っています。どうしても自分で対応が難しい場合は、他スタッフへお願いをしてみましょう。
マルチタスクが苦手な看護師におすすめの職場3選
マルチタスクが苦手な人はゆっくり自分のペースで、目の前のことに集中して取り組める環境が適切です。
多くの業務を一度にこなすことは非常に難しいですが、これができなかったからといって「看護師に向いていない」「看護師ができない」と負担に感じる必要はありません。
マルチタスクが苦手な人でも看護師が続けられる職場をご紹介します。
慢性期病棟
慢性期病棟は急性期病棟よりも比較的時間に余裕があり、ひとつひとつのことに集中して取り組める環境にあります。また教育体制も整っているので、新卒や第二新卒の転職先にもおすすめです。
マルチタスクをこなすことができず、夜勤をさせてもらえなかった新人が、慢性期では独り立ちでき、すぐに夜勤ができるようになったケースはたくさんあります。

保育園看護師
保育園は体調不良の園児対応や病み上がりのフォロー、感染対策などをするお仕事です。
保育園に看護師1人の配置ですが、病児保育とは違って早めの病院受診を勧めたり、お迎えがくるまでの見守りが多いです。医療行為もなく、小児経験者から大人気の職業です。


小児経験がなくても看護の知識と技術があればこなせる業務ですが、小児対応の勉強は必要不可欠です。
企業看護師・産業保健師
企業の看護職は業務内容は多いですが、一年間を通して全てをこなしていきます。
【一年間スケジュール例】
4~5月:定期健康診断の実施
6~8月:健康診断の事後措置
9~11月:ストレスチェック実施
11~12月:特殊健診の実施
1月~3月:高ストレス面談 など
業務が重なり、忙しくなってしまった場合には、次年度から時期を調整するなど自己調整が可能なため、マルチタスクが苦手な人でも業務ができる環境にあります。
看護師のマルチタスクをこなす方法まとめ
看護師は複数の患者さんを受け持ちます。スケジュールも患者さんに合わせて動かなければならないため、業務が重なってしまうことに悩む看護師は多いです。
優先順位を決めるポイント
①緊急度は高くないか
②患者さんにモニターはついていないか
③時間指定の処置であるか
④他のスタッフに頼める仕事か
優先順位はよく考えて決める癖付けを新人のうちから意識しましょう。
辛い看護師を乗り切るコツを以下の記事で紹介しています。ぜひ活用してください。
